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物とは・・


物とは、日本やドイツなど一部の大陸法系の法域において、法律上、物権または所有権の客体を示す概念であり、その主体である人(自然人又は法人)に対する概念である。有体物に限るか、無体物を含むかについては、法域によって異なる。類似の概念として、「財産」を用いる法域(フランス、ケペック州など)もある。また、英米法においても、類似の意味で用いられることがある。なお、実務上あるいは講学上、「もの」「者」」と区別するために「ブツ」と読む場合がある。
日本の民法は「この法律において「物」とは、有体物という」と規定する。ここでいう「有体物」の解釈をめぐっては学説に対立がある。

◆有体性説(有体物限定説)
85条の文言などを重視して、固体、液体、気体など空間の一部を占めて存在する物を「有体物」とみる説。電気のようなエネルギーは民法上の物ではないとする。特別法により客体となると解することで足りるとみる。

◆管理可能性説(管理可能説)
権利の客体として性質を重視して、法律上の排他的な支配が可能である物を「有体物」とみる説。電気のように管理可能なものも民法上の物に含まれる。判例は、この立場であるとみられている。

実際には、民法上の条文上において、権利の客体が物以外にも拡張されることがある。

◆物の要件
物には有体物であるほかに、支配可能性、特定性、単一性、独立性を要するとされる。ただし、これらの要件をみぐっては、以下のような問題があるとされる。

◎支配可能性
◇天体、大気、海洋
私人による排他的支配の可能性がないことから天体、大気、海洋は所有権の客体とならないとされる。ただし、海については通常は支配可能性が否定されるが、排他的支配が可能な場合には、所有権の客体たる土地として所有権が認められる。

◇人体
近代法の下では、人は等しく権利の主体なのであり(権利能力平等原則)、権利の客体とならないとされる。ただし、死体や遺骨は埋葬管理や祭祀供養の範囲において所有権の目的となり、その所有権は放棄できない。また、人の身体組織や血液などについては倫理上の観点から取引や処分が制限され、公序良俗に反しない範囲においてのみ権利の客体になる。

◇特定性、単一性
所有権の客体は、特定された単一の物でなかればならない。例外として、集合物譲渡担保や立木法により登記された立木がある。

◇独立性
所有権の客体は独立した物でなければならない。

◆物の分類
◎動産と不動産
動産と不動産は、物の基本的な分類である。民法は、土地及びその定着物を不動産とし、不動産以外の物をすべて動産としている。なお、自動車、船舶、航空機も動産であるが、独自の公示方法があるなど一般の動産とは異なる扱いを受ける。

◎主物と従物
物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有する他の物をこれに付随させるときは、その附属させた物を従物とする。従物を附属させられた側の物は主物と呼ぶ。従物の処分は主物の処分に従うとされる。
なお、不動産に従として付合させた物の所有権の帰属は添付の問題となる。

◎元物と果実
物の用法に従って収取される収益や物の使用の対価として受けるべき収益を果実といい、これらの収益を生み出す元となる物を元物という。条文では、果実は物であると規定されているが、通説によると法的果実は有体物ではなくむしろ典型的には金銭債権である。

 



 

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