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物権変動とは・・


◆物権変動とは
Aが自分の土地に建物を新築すれば、所有権が発生する。
AがBに建物を売れば、所有権がAからBに移る。
地震で建物が滅失(倒壊など)すれば、所有権が消滅する。
このように、物権の変動とは、物権が契約その他の原因によって、物権が「発生」したり、「変更」したり、「消滅」したりすることをいう。

◆公示の原則と対抗要件主義
物権は様々な原因によって変動しますが、物権は排他性のある強力な権利であるので、その取引の安全を図るための特別な工夫が必要になります。

◎公示の原則とは
権利の現状を外部から認識しうる状態にすることを公示といい、公示のために用いる方法を公示方法といいます。
権利それ自体は、目に見えないから、その現状を知らずに取引に入った第三者が思いがけない不利益(不測の損害)を受けるおそれがあります。とりわけ、物権は排他性を有するので、その傾向は顕著です。
それゆえ、取引の安全を図るために、何らかの方法によって物権の現状を外部から容易に認識することができる状態にしておくこと(物権変動の公示)が要請されます。
さらに、進んで、近代法においては、単なる公示の要請にとどまらず、公示をともなわない物権変動は多かれ少なかれその効力を否定されるという原則を採用しています。これを公示の原則といいます。

公示の方法は、物権の客体の種類に応じて異なります。
不動産の場合は、登記です(土地、建物は不動産登記、立木は立木登記)。動産の場合は、原則として引渡し(占有移転)ですが、船舶、航空機、自動車などについてはそれぞれの登記、登録制度が公示方法となります。また、樹木、未分離果実(農作物)については、明証方法が公示方法として認められています。

◎対抗要件主義
公示の原則の下では、公示のない物権変動には完全な効力が与えられませんが、その程度について次のように二つの立法主義があります。

◇成立要件主義
公示がなければ物権変動が成立しない(成立要件)とする立法主義です。代表例は、ドイツ民法。

◇対抗要件主義
物権変動は、当事者間では有効に成立するが、公示がなければ第三者に対してそれを主張することができない(対抗要件)とする立法主義です。代表例は、フランス民法。
日本民法は、不動産に関する177条および動産に関する178条が、公示をともなわない物権変動は、「第三者に対抗することができない」と定めており、対抗要件主義を採用しています。

民法176条は、物権変動は、当事者の意思表示のみで効力を生ずると定めています(意思主義)。これは、当事者間にかぎり、公示がなくても物権変動の効力を主張することができることを意味します。第三者に対する関係では、上述したように177条、178条の対抗要件主義が適用されます。このように、物権変動の効力を当事者間と対第三者間とで分けて判断するのが、意思主義、対抗要件主義の特徴です。

◆公信の原則
公信の原則は、公示の内容と異なる物権変動が存在しないという消極的な信頼を保護するための原則です。
これに対して、公示の内容どおりの物権変動が存在するという積極的な信頼を保護するための原則が公信の原則です。

◎公信の原則とは
公示(と見られる外形的事実)は、その内容が常に真実の権利関係と合致しているとは限りません。公示によって、権利を有すると思われる者が、実際には権利者ではない場合もありえます。
そのような場合、誤った公示を信頼して取引した者が、相手方が実は無権利者であるから権利を取得できないとなると、取引の安全を著しく害することになります。
そこで、近代法は、物権取引に関して、真実の権利関係と異なる公示が存在する場合に、その公示を信頼して取引をした者に対して公示どおりの権利の存在を認めることを基本原則としました。
これを公信の原則といい、また、公示のこのような効力を公信力といいます。
公示に公信力が認められる結果、取引をした者は、たとえ相手方が無権利者であったとしても保護されて権利を取得することができます。その一方で、真実の権利者は権利を失うことになります。

◎公信の原則が認められる範囲
公信の原則を認めることによって、確かに、物権取引の安全を図ることはできます。しかし、その反面、真実の権利者の利益を犠牲にすることになるので、どの範囲にまで公信力を認めるべきかが問題となります。
この点について、日本民法は、次のように定めています。

◇動産の占有には、公信力がある
動産の貸し借りなどによって、動産の所有者と占有者が異なる場合に、単なる占有者を正当な所有者であると誤認して取引した者は、無権利者との取引であるにもかかわらず、動産について完全な権利を取得することができます。
これを即時取得、または善意取得といいます。動産の占有(引渡し)に対して公信力を認めたものです。
盗品や遺失物(失くし物)に関しては、即時取得に制限があります。

◇不動作の登記には公信力がない
不動産の登記には、動産に関する192条のような規定は存在しません。つまり、民法の条文の上では、登記には公信力が認められていません。
その結果、真実と異なる登記(不実登記)を信頼して取引をした者は、第三者を保護する規定が存在しない限り、保護されないのが原則です。
しかし、実際には、94条2項を類推適用することによって不実登記を信頼した第三者の保護が図れています。


◆物権変動における「意思主義」と「形式主義」
物権変動の効果(所有権移転や抵当権設定などの効果)が発生するためには、意思表示の合致だけで足りるのか(意思主義)、さらに公示方法まで要求されるのか(形式主義)ということが問題になります。
言い変えると、「物権変動には、「売った」「買った」というようなお互いの意思表示だけでいいのか、それとも登記申請や、引渡し、代金支払いなどの形式的な事も必要か?」という意味合いです。
我が国は、民法で、176条<物権変動の意思主義>
「物権の設定及び移転は当事者の意思表示のみによってその効力を生ずる」
と定めて、意思主義を採用しています。


◆物権変動の要件と時期
◎物権変動の要件
原則、意思表示(契約を)するだけで生じる。
これは、当事者(売主と買主だけ)のルール。
第三者に対しては、二重譲渡のルールが適用。

◎物権変動の時期
原則、意思表示(契約を)した時に、所有権が移転する。
つまり、所有権の移転登記がされていなくても、売主から買主に所有権は移転する。

◎例外
特約があれば、特約に従う。
例えば、「代金全額を支払うと同時に所有権が移転する」と特約した場合、契約時に所有権が移転するのではなく、特約通り、代金全額を買主が支払ったときに所有権が移転する。

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◆不動産と登記
◆不動産の物権変動と対抗要件
◎不動産登記と第三者
◇民法177条
不動産に関する物権の得喪および変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

◎不動産登記と第三者に関する判例
◇登記がなければ対抗できない第三者には、売買契約の当事者たる関係にある者は含まれない。

◇不法占拠者は、第三者ではなく、対抗するには登記は不要である。

◇時効完成後の第三者との関係は対抗問題となり、悪意の第三者に対しても登記がなければ対抗できない。

◇無権利者は、第三者に当たらない。

◇中間省略登記をしようとする場合には、中間者の同意が必要である。

◇ポイント
・背信的悪意者は、第三者に当たらない。
・単純悪意者は、第三者にあたる。
・第三者の善意は要求されていない。
・不法占拠者は、第三者にあたらない。
・相続放棄は、登記なくして効力を生じる。
(相続を放棄した者の放棄前の持分に対する第三者の差押えは効力を持たない)
・取消し後に不動産を取得した第三者には、登記なくして対抗できない。
・解除後に不動産を取得した第三者には、登記なくして対抗できない。

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◆177条の「対抗することができない」の意味
民法177条は、不動産の物権変動(得喪変更)は、「登記をしなければ、第三者に対抗することができない」と定めています。
この「対抗することができない」という文言は、次のような意味を持ちます。

①物権変動は、登記をしなくても、当事者間では有効である。
②当事者は、登記をしなければ、物権変動の効力を第三者に対して主張することができない(第三者は、未登記の物権変動の効力を否認することができる)。
③第三者は、登記をしていない物権変動の効力を承認することもできる。

◎事例
Aは、Bに対して、自己所有の甲土地を売却したが、登記はまだA名義のままであった。後日、AのもとにCが表れて、Bよりもよい条件を提示したので、Aは甲土地をCに対して売却した。

この事例では、いったん物を売却したあとで、さらに別人に同一の物を売却しています。いわゆる、二重売買(二重譲渡)の事例です。

◇AB間の関係(第一売買)
物権変動は、「当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる」から、AB間の甲土地の所有権移転は、登記(所有権移転登記)がなくても有効です。
したがって、売主Aは、まだ、登記がなされていないからといって買主Bへの所有権移転を否定することはできません。

◇AC間の関係(第二売買)
AC間の売買は、AB間の売買に後れて成立しており、すでに甲土地の所有権は第一買主であるBのもとへ移転しています。したがって、第二買主のCは、無権利者となったAから甲土地を購入しても所有権を取得することはないと言えそうです。
しかし、多くの学説は、第二買主Cの所有権取得を認めます(二重譲渡の肯定)。

◇BC間の関係(対抗関係)
BとCとは、それぞれAとの売買契約が有効である以上、いずれも自己が所有権を取得したことを主張する立場にあります。
しかし、一つの物の上には一つの所有権しか成立しないとする一物一権主義(排他性)の原則からすると、BC双方の所有権の主張は両立しません。
このように、同一の権利の帰属を巡って、両立しない主張をする者同士の関係を、対抗関係と呼びます。
また、BC間における甲土地の所有権の帰属をめぐる問題のような、互いに両立しえない物権変動同士の優劣を決定する問題を対抗問題と呼びます。

◇177条の適用
民法は、この問題を解決するために、物権変動の当事者は、登記をしなければ、その物権変動の効力を第三者に対抗することができない、と定めています。
「対抗する」というのは、法律関係の効力を当事者以外の第三者に対して、及ぼすことを意味します。当然に、第三者に対する効力(対抗力)が生じるわけではなく、それを主張するか否かは対抗しうる立場にある者の選択によります。
したがって、上の事例において仮にCが先に登記をすませたとすると、登記をしていないBは(AB間の法律関係から見て)第三者であるCに対して所有権取得を主張することができません。
Bは、Aに対して債務不履行による損害賠償責任を追及するしかありません。
一方、登記をしたCは、(AC間の法律関係から見て)第三者であるBに対して自己の所有権取得を主張することができますが、反対にBの所有権取得を承認することもできます。
以上のように、二重売買のような事例においては、民法177条の適用によって、先に登記をした物権変動が優先することになります。
どちらも登記をしない場合、二重譲受人は、お互いに自己の所有権取得を対抗することはできず、どちらかが登記をするまで所有権の帰属先は確定しません。

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◆対抗要件としての登記
不動産をめぐる物権変動があった場合、その公示方法として登記が要求されます。しかし、登記がなければ当事者間で物権変動の効力が生じないわけではありません。つまり、登記は物権変動の成立要件ではありません。
ところで、ある法律関係の効力を第三者に対して及ぼす(対抗力を有する)ために、成立要件とは別に、一定の条件が要求されているとき、その条件を対抗要件といいます。
すでに見たように、民法177条は、不動産に関する物権変動の効力を第三者に対して主張するには登記が必要であると定めています。つまり、登記は、不動産物権変動の対抗要件です。
不動産(土地、建物)の登記に関する手続は、不動産登記法の定めるところによります。
立木(樹木の集団)の登記については、「立木ニ関スル法律」の定めるところによります。

◆登記を必要とする物権変動の範囲
民法177条は、登記をしなければ第三者に対抗することができない物権変動の範囲をとくに限定していません。
したがって、どのような原因によって生じたかを問わず、すべての物権変動に対して177条が適用されると解することができます。
もっとも、現在の学説は、177条は、意思表示以外の原因による物権変動にも適用されることを原則としつつも、例外的に、登記なしに物権変動の効力を第三者に対して主張できる(対抗力を有する)場合があることを認めています。
177条を適用すべきか否か(対抗要件としての登記が必要か否か)が問題となる具体的な場面として、取消し、解除、時効取得、相続などがあります。

◆明証方法
土地に生立する樹木や収穫前の農作物(未分離果実という)は、原則として、土地の一部であって独立の者ではありません。しかし、地盤である土地や果樹とは別個独立にこれらを取引する習慣が古くからあり、判例もそれを認めています。
もっとも、樹木、未分離果実が、地盤、果樹とは独立に取引の対象となるにしても、(樹木の集団である立木を除いて)、これらの物権変動を第三者に対抗するための要件が法定されていません。
そこで、慣習上の公示方法である明証方法がこれらの物権変動の対抗要件として認められています。
明証方法の例として、樹皮を削って所有者の氏名を墨書する。焼き印を押す、果樹園の周囲に縄をはって所有者の氏名を記した立札を立てるなどの方法があります。
このような明証方法を先にほどこしておくことによって、後に第三者に土地が譲渡されて登記がなされたとしても、明証方法によって公示した物権変動の効力が優先します。
明証方法は、簡素な公示方法であるので、それによって公示することができる物権変動は所有権の譲渡に限られます(抵当権の設定などはできない)。
立木については、独立の不動産として、取引するための公示方法として、上に述べた明証方法のほかに、立木ニ関スル法律にもとづく登記(立木登記)があります。立木登記は、明証方法と異なり、抵当権の設定をも公示することができます。
もっとも、実際には、立木登記は、ほとんど利用されておらず、立木の取引には明証方法が用いられています。



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◆二重譲渡による物権変動
例:A所有の土地について、AがBに売却した後に、AがさらにCに売却した場合、どうなるか?

BおよびCについて先に登記したほうが、土地の所有権を主張できる。
(=先に登記をした方がかつ:対抗できる)

◎民法177条
不動産に関する物権変動は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

◎第三者に該当しない者
①背信的悪意者
②無権利者
③不法行為者
④不動産の前主(前の持ち主)
⑤相続人
など

◆解除による物権変動
◎解除前の第三者
①AがBに売却
②その後、BがCに売却
③その後、AB間で契約解除

この場合、AおよびCは、先に登記したほうが勝つ。

◎解除後の第三者
①AがBに売却
②その後、AB間で契約解除
③その後、BがCに売却

この場合も、解除前の第三者と同様、AおよびCは先に登記をした方が勝つ。

◇解除前の第三者との関係
登記を備えたほうが所有権を主張できる。

◇解除後の第三者との関係
登記を備えたほうが所有権を主張できる。








 



 

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