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◆契約の成立
契約とは、互いに対立する2個の意思表示(「申込」と「承諾」)の合致によって成立する法律億位をいう。
◇申込
申込とは、一定の契約をしようとする意思表示をいう。
・「承諾期間を定めてした」申込→その期間中、撤回することができない。
・「承諾期間の定めないでした」「隔地者への」申込
→「承諾を受けるまで相当の期間を経過するまで」撤回することができない。
◇承諾
承諾とは、申込みを受け、これに同意することにより契約を成立させる意思表示をいう。
・「隔地者間の契約」は、承諾の通知を「発したとき」に成立する。
(隔地者間の意思表示は、その通知が相手に「到達」したときに効力が生まれる原則だが、隔地者間の「承諾」については、例外的に、発信主義である)
・「承諾期間を定めてした申込」に対し、「期間内に承諾の通知が到達しなかった」場合→申込は効力を失う
(契約の成立については、期間内に「到達」したかどうかが問題となり、成立した場合の効力の発生は、承諾を「発信」したときである)
・「承諾期間を定めないでした申込」
→「相当の期間内に」承諾の通知が発信されれば、契約は成立する。
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◆同時履行の抗弁権
◎民法533条(同時履行の抗弁)
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
同時履行の抗弁権とは、「双務契約」における当事者の一方が、「相手方が債務の履行をするまで」、「自己の債務の履行を拒絶する」ことができる権利である。
◇同時履行の抗弁権の「成立要件」
①双務契約から生じた対立する債務の存在
②双方の債務が「ともに弁済期」にある
③一方が、債務の履行またはその提供をしないで、他方に対して債務の履行を請求してきたこと
◎同時履行の抗弁権の「効果」
「同時履行の抗弁権を有する限り」、履行期日が経過しても、違法性はなく、履行遅滞の責任を負わない。
・訴訟において、双務契約の一方(原告)が債務の履行を請求し、他方(被告)が同時履行の抗弁権を主張した場合は、「引換給付判決」(原告の債務履行と引換えに、被告の債務履行を命ずる判決)がなされる。
◎同時履行の抗弁権についての判例
◇受取証書
…弁済と受取証書の交付は、同時履行の関係に立つ。
◇原状回復義務
…契約当事者の一方が未成年であることを理由に売買契約が取り消された場合における現状回復義務(当事者相互の返還義務)は、同時履行の関係に立つ。
◇建物買取請求権
…借地人が、借地借家法に規定される「建物買取請求権」を行使した場合は、建物およびその敷地の明け渡しについて、同時履行抗弁権を主張できる。
◇造作買取請求権
…借地人が、借地借家法に規定される「造作買取請求権」を行使した場合は、建物の明け渡しとの同時履行を主張「できない」。
◆危険負担
危険負担とは、双務契約の「成立後」、一方の債務が、債務者の責めに帰すべき事由に「よらずに」消滅してしまった場合に、他方の債務も消滅するかという問題のこと。
*債務者の責めに帰すべき事由に「よって」、消滅した場合は、「債務不履行」の問題となる。
◎債務者主義
危険負担の問題については、「債務者主義」と「債権者主義」の立場がある。
・債務者主義…不可抗力による一方の債務の消滅により、他方の債務も消滅する。
・債権者主義…不可抗力により一方の債務が消滅しても、他方の債務は消滅「しない」。
民法では、原則として「債務者主義」が作用される。
(不可抗力により一方の債務が消滅したのに、他方の債務だけが残るのは、公平でないから)
◎「特定物」の危険負担は、債権者主義
ただし、「特定物」(建物など)の場合は、危険負担は「債権者主義」が採られることとなる。
(民法上では、例えば、建物の売買契約成立後、不可抗力によって建物が滅失した場合、売主の建物引渡し債務は消滅するが、買主の代金支払い債務は「残る」ことになる)
また、「不特定物」に関する契約においても、「特定」が生じた以降は、債権者主義となる。
*ただし、当事者がこれらの規定と異なる契約をすることは可能であり、契約がある場合は、契約に従うことになる。
よって、実際上の建物の売買契約においては、通常、危険負担が「債務者主義」である旨契約が交わされる。
◆解除
解除とは契約が締結された後に、当事者の一方の意思表示によりその契約を遡及的に消滅させる制度。
◎債務不履行による解除
◇履行遅滞
…履行遅滞による「解除」の「要件」は以下。
①履行遅滞の要件を満たしている。
②債権者が相当の期間を定めて履行の催告をする
③債務者が相当の期間内に履行しないこと
◇「定期行為」に関する履行遅滞
→催告なしで、直ちに解除できる。
◇履行不能
→履行不能の要件を満たしていれば、催告なしで、直ちに解除できる。
◎解除権の不可分性
契約当事者が、一方または双方に複数いる場合は、「全員から」または「全員に対して」解除の意思表示をしなければならない。
これを、「解除権の不可分性」という。
この場合、解除権が当事者のうちの1人について消滅したときは、他の者についても消滅する。
◎解除の効果
解除権の行使により、契約は遡及的に消滅する。
…①未履行債務は、当然に消滅
②履行されたものは返還し、契約締結前の状態に戻さなければならない(原状回復義務)
ただし、解除前の第三者の利益を害することは許されない。