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身体的自由権とは、拷問を受けたり、不当に逮捕されない権利のことを
言います。
日本国憲法第18条は、奴隷的拘束からの自由を保障しています。
◆奴隷的拘束からの自由
◎憲法18条
「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を
除いては、その意に反する苦役に服させられない。」
現在では、人間誰しも奴隷的な拘束を受けないというのは、
当然のことのように思われます。
しかし、過去には奴隷的な拘束が行われたという歴史があり、
その反省のうえに立ち、明文が置かれたのです。
◆適正手続の保障
◎憲法31条
「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、
又はその他の刑罰を科せられない。」
◎31条の意義と適正手続の内容
31条から40条では、詳しく人身の自由を保障しています。
これは、明治憲法の下で、人身の自由に対する過酷な制限が行われたという
反省に基づくものです。
特に31条では、「法律の定める手続きによらなければ」という前提を
挙げて人身の自由の基本原則を定めています。
31条は、「法律の定める手続」と規定しており、条文上は手続を法律で
定めさえすればよいようにもみえます。
しかし、手続がいくら法定されていても、その内容が適正でなければ
結局のところ「手続が適正」であるとはいえません。
したがって、判例は手続内容の適正さまでが要求されると判断しています。
さらに、実体法の法定および内容の適正までもが31条で要求されると
考えられています。
なお、「法律」には、地方公共団体の制定する自主立法である「条例」も
含まれると解釈されています。
ここでは、①単に手続きが法律で定められているだけでなく、
②手続きが適正であること、③刑法などの実体の法定、
さらには、④実体規定の適正までも含むとされています。
具体的にいうと、①では刑事手続が刑事訴訟法などの法律で定められて
いること、②では告知、聴聞などの手続が適正であること、
③実態が刑法などで法定されていること、④その実体規定が適正であることを
要求しているのです。
ちなみに、告知とは刑罰その他の不利益を科される者に対して、
あらかじめその内容を知らせることをいい、
聴聞とは当事者に弁解と防御の機械を与えることを言います。
◎告知と聴聞手続
公権力が国民に刑罰その他の不利益を科そうとする場合に、当事者に
あらかじめその内容を告知し、当事者に対して弁解と防御の機会を与える
必要があります。
一方的な嫌疑だけで、刑罰等の不利益を科してしまうと、万が一嫌疑が
誤りだった場合に、人権侵害は取り返しがつかないからです。
◎31条と行政手続
31条は、刑事手続に関する規定ですが、行政手続には適用されない
のでしょうか。
現在、行政権は肥大化し、行政による国民生活への介入とそれに伴う
人権侵害の危険は増大しており、国民の権利保障にとって無視できない
重要性をもつに至っています。
したがって、31条の趣旨は、行政手続にも準用されると考えられて
います。
この点につき、最高裁は、成田新法事件において、行政手続は刑事手続で
ないとの理由のみで、当然に31条の保障の枠外にあると判断すべきで
ないと判示しています。
◆被疑者および被告人の権利
◎被疑者の権利①~不当な逮捕、抑留、拘禁からの自由
◇憲法33条
「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する
司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状に
よらなければ、逮捕されない。」
◇憲法34条
「何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を
与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由が
なければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及び
その弁護人の出席する公開の法廷で示さなければならない。」
33条は、犯罪による逮捕には、原則として司法官憲が発する逮捕状、
勾引状、勾留状などの令状が必要であるとします。
これを令状主義と言います。
恣意的な人身の自由の侵害を阻止するためです。
33条の例外が現行犯逮捕です。
また、34条の抑留とは一時的な身体拘束をいい、拘禁とは抑留より
継続的な身体拘束を言います。
◎被疑者の権利②~住居等の不可侵
◇憲法35条
「1、何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び
押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、
正当な理由に基づいて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する
物を明示する令状がなければ、侵されない。
2、捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、
これを行ふ。」
住居は人の生活の中心です。
捜索する場所および押収する物の明示された令状以外の令状は禁止されます。
◎被疑者の権利③~行政手続への準用
判例は、たとえば、行政調査目的での家屋への立入りであっても、
刑事責任追及を目的とするものではないとの理由のみで、
一切の強制が当然に本条の保障の枠外と判断するのは相当でないと
しています。
◎被告人の権利①~拷問および残虐刑の禁止
◇憲法36条
「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」
最高裁は、憲法に刑罰としての死刑の存置を想定し是認する規定がある
ことを指摘し、現行の絞首刑による死刑そのものは、残虐な刑罰に
あたらないとしています。
◎被告人の権利②~裁判を受ける権利、証人審問権・喚問権、弁護人依頼権
◇憲法37条
「1、すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な
公開裁判を受ける権利を有する。
2、刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を十分に与へられ、
又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3、刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼する
ことができる。被告人が自らこれを依頼する事ができないときは、
国がこれを附する。
公平な裁判所とは、構成その他において偏頗のおそれのない裁判所のこと
です。
迅速な裁判とは、不当に遅延した裁判ではないことです。
裁判が遅延すると、被告人に有利な証拠が失われかねず、未決段階の身柄の
拘束が長期化するためです。
公開裁判とは、対審および判例が公開の法廷で行われる裁判のことです。
◎被告人の権利③~不利益供述の強要禁止
◇憲法38条1項
「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」
「自己に不利益な供述」とは、本人の刑事責任に関する不利益な供述、
つまり有罪判決の基礎となる事実や量刑上不利益となる事実の供述を
言います。
これを強要されない権利のことを一般的に「黙秘権」と言います。
◎被告人の権利④~自白の証拠能力の制限
◇憲法38条2項、3項
「2、強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは
拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3、何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、
有罪とされ、又は刑罰を科せられない。」
拷問や脅迫などによる、本人の任意に基づかない自白は、証拠として
認められません。
また、たとえ任意性のある自白であっても、これを補強する証拠が
別にない限り、有罪の証拠とすることができません。
◎被告人の権利⑤~刑罰不遡及と二重処罰の禁止
◇憲法39条
「何人も、実行の時に違法であつた行為又は既に無罪とされた行為に
ついては、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、
重ねて刑事上の責任を問はれない。」
39条前段前半の部分は、事後法の禁止ないし遡及処罰の禁止を定めて
います。
いずれも罪刑法定主義の重要な内容です。
また、39条前段後半の部分は一事不再理の原則、39条後段の部分は
いわゆる二重処罰の禁止を規定したものです。
◎被告人の権利⑥~刑事補償
◇憲法40条
「何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、
法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。」
40条は、受益権である刑事補償請求権を定めるものです。
本条を受けて、刑事補償法が制定されています。
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(記事作成日、平成29年4月6日)