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◆特殊の不法行為が定められている趣旨
不法行為責任は、過失責任主義と自己責任の原則を根底に定められた制度です。
しかし、科学の進歩や社会の高度に複雑化した現代では、これらの原則を修正
しなければ、特に被害者の救済をするという点で不十分な場面が生じてきまし
た。
そこで、このような社会の進展に合わせて、一般の不法行為とは異なった、
さまざまな形態の不法行為責任が定められています。これが特殊の不法行為で
す。
◆責任無能力者の監督義務者等の責任
他人に損害を加える行為をしても、加害者が幼児や児童などの責任無能力者で
あれば、不法行為責任は負いません。
そこで、これらを監督すべき法定の義務を負う監督義務者や代理監督者は、
責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。監督義務者
には親権者や未成年後見人が該当し、代理監督者には幼稚園や小学校の保育士
や教員などが該当します。
これら監督義務者等は、自らが監督義務を怠らなかったことやその義務を怠ら
なくても損害が生ずべきであったことの立証ができれば、責任を免除されます。
なお、行為者本人に責任能力が認められる場合、監督義務者等に714条に基づ
く責任は生じません。ただし、監督義務者等の義務違反と行為者本人の不法
行為により生じた結果との間に因果関係が認められるときは、監督義務者等が
709条に基づく不法行為責任を負うことがあります。
◆使用者責任
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三
者に加えた損害を賠償する責任を負います。これを使用者責任といいます。
タクシー会社のような使用者は、運転手のような被用者を従事させることに
よって利益を上げてします。したがって、被用者が事業の執行について第三者
に損害を与えた場合には、使用者もその責任を負うべきだとの考え方に基づき、
責任規定が設けられています。
使用者側は、被用者の選任および事業の監督について相当の注意をしたこと、
または相当の注意をしても損害が生じたことの立証をすれば責任が免除されま
す。
◆注文者の責任
請負契約における注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を
賠償する責任を負いません。
ただし、注文または指図についてその注文者に過失があったときは、損害賠償
責任を負います。
◆土地工作物責任
土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じた
ときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を
負います。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたとき
は、所有者がその損害を賠償する責任を負います。
土地の工作物とは、人工的な作業によって、土地に接着して設置されたものを
いいます。建物などの土地の工作物は、崩壊による危険をもたらす可能性が
高く、民法はそうした危険性のある土地工作物を支配している者(占有者や
所有者)に、損害賠償責任を負わせています。
土地工作物の瑕疵をげんいんとして 損害が発生した場合は、賃借人などの
占有者がまず第一次的に、工作物の瑕疵から生じた損害について責任を負い
ます。しかし、自ら損害の発生を防止するのに必要な注意をしたことが証明
できた場合は、占有者は免責されます。この場合は、二次的に土地工作物の
所有者が損害賠償責任を負います。この所有者の責任は、無過失責任です。
◆共同不法行為責任
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯して
その損害を賠償する責任を負います。共同行為者のうち、いずれの者が損害を
加えたかを知ることができないときも、同様に責任を負います。
たとえば、不法行為の自己責任原則を貫くと、A社およびB社は、それぞれ
自己の行為と因果関係のある損害についてのみ賠償責任を負うことになります。
しかし、どちらの工場が流した排水が原因で損害が生じたのかをはっきりしない
場合には、因果関係が確定できないため、Cはいずれの会社にも責任を追及でき
ないということになります。
そこで、不法行為を共同で行った加害者が複数いる場合は、加害者各人が、
被害者に対して、共同不法行為と因果関係にある全損害について、連帯して賠償
責任を負うとしています。
その結果、被害者は全損害について加害者のうち一人に対して損害賠償請求が
できるだけでなく、同時または順次に、全員に対して損害賠償請求することも
できます。
なお、行為者を教唆した者や幇助した者も共同行為者とみなされ、連帯して
責任を負います。
民法では、不法行為の要件とは異なる要件で成立する不法行為が定められて
います。
これを特殊の不法行為と言います。
◆使用者責任
民法は、会社の従業員が、その仕事中に不法行為を行った場合、
会社がその損害を賠償する責任を負うと定めています。
これを使用者責任と言います。
会社は、従業員を使って仕事をさせて利益を上げているので、
従業員が仕事中に第三者に損害を与えた場合、
会社がその賠償の責任を負うべきであるという考え方に基づいています。
◆土地工作物責任
建物などの土地の工作物は、崩壊などにより他人に損害を生じさせる
危険があります。
そのため、土地工作物を支配している者は、土地工作物の設置
または保存について、特別の責任を負わせれています。
この特別の責任を土地工作物責任と言います。
土地工作物責任を負わされる者の典型は、土地空作物の所有者ですが、
建物を賃借している居住者などもこれに該当します。
たとえば、賃借している家屋の屋根瓦が落下し、通行人が負傷した場合、
一時的に土地工作物責任を負うのは、その家屋の賃借人になります。
しかし、賃借人は、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、
責任を免れます。
つまり免責されるのです。
そして、その家屋の所有者が二次的に責任を負うことになります。
この所有者の責任は、過失がなくても成立し、賃借人の責任のように
免責されることはありません。
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(記事作成日、平成29年4月3日)