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債権の発生原因としては、契約、事務管理、不当利得及び不法行為の
4つを規定しています。
◆契約
契約とは、ある法的な効果を発生させることを内容とした約束を
言います。
言い換えると、その約束を破ると裁判所に訴えられ、
むりやり契約を履行させられるか、または、損害賠償をさせられるかも
しれないという強く約束になります。
(詳細→「契約とは・・」)
◆事務管理
事務管理とは、法律上の義務がない者が、他人のために、
他人の事務の管理を行うことを言います。
◆不当利得
不当利得とは、契約などののような法律上の発生原因がないにも
かかわらず、本来利益が帰属すべき者の損失と対応する形で
利益を受けること、または、その受けた利益そのもののことを言います。
◆不法行為
不法行為とは、人が行った行為によって事故が起こり、
損害が発生した場合を言います。
契約責任は、当事者が自分から望んで契約を結んだことにより
生まれるものですが、不法行為責任は、当事者が望まなくても、
現に発生してしまった事実から生まれるものになります。
(詳細→「不法行為とは・・」)
◆事務管理
管理者は、原則として、本人等が管理できるようになるまで、事務管理を継続
しなければならない。
事務管理とは、義務がないのに他人のために事務の管理をすることをいいます。
たとえば、Aが不在であったため、隣人Bが宅配業者CからA宛の荷物を預か
る場合がこれにあたります。この場合のAを本人、Bを管理者といいます。
管理者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければなりません。
また、管理者は、本人または相続人・法定代理人が管理できるに至るまで、
事務管理を継続しなければなりません。
◎事務管理の要件と権利義務
◇要件
①管理者が他人のために事務の管理を始めること
②管理者が本人のためにする意思があること
③管理者に法律上の義務がないこと
④管理者の行為が本人の利益または意思に反しないこと
◇義務
◇管理者
①善管注意義務
②管理継続義務
③通知義務
◇本人
費用償還義務
◆不当利得
善意の受益者は利益の存する限度で、悪意の受益者は受けた利益の全額と利息
の返還義務を負う。
◎不当利得とは
不当利得とは、法律上の原因なく他人の財産または労務によって利益を受け、
そのために他人に損失を及ぼすことをいいます。
不当利得は、法律上の原因がないのに利益を受け他人に損失を及ぼした者に
対して利得の返還をさせることで、当事者間の実質的な公平を実現する制度
です。
不当利得には、一般不当利得と特殊の不当利得とがあります。
◎一般不当利得
◇一般不当利得の要件と効果
◇要件
①他人の財産または労務によって利益を得たこと
②そのために他人に損失を与えたこと
③受益と損失との間に因果関係があること
④法律上の原因がないこと
◇効果
不当利得の返還義務
①善意の受益者
利益の存する限度(現存利益)で利得を返還する義務を負う
②悪意の受益者
受けた利益の全額と利息を返還する義務を負う
損害があるときは、賠償責任を負う
◎特殊の不当利得
たとえば、債務の弁済をしたものの、実は債務自体が存在しなかったという
場合に、弁済として給付をした者は、不当利得の返還請求ができるはずです。
しかし、民法はその特則を定めて、一定の場合には、公平の立場から返還
請求を否定します。
◇債務の不存在を知ってした弁済
債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないこと
を知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができませ
ん。弁済者が債務の不存在を知りながら弁済をした場合は、自ら不合理な
行動をして損失を招いたのですから、そのような者を不当利得制度で保護
する必要がないという理由です。
◇期限前の弁済
債務者は、弁済期になり債務の弁済として給付をしたときは、その給付を
したものの返還を請求することができません。期限前であっても、債務者
に債務が存在している以上は、給付を受けた債権者に不当利得が成立しな
いことは当然だからです。
ただし、民法は、例外的に債務者が期限の未到来なことを知らずに誤って
弁済をした場合にのみ、不当利得相当額の返還を請求できるようにしまし
た。
◇他人の債務の弁済
債務者でない者が錯誤によって他人の債務の弁済をした場合に、債権者が
善意で証書を滅失させもしくは損傷し、担保を放棄し、または時効によっ
てその債権を失ったときは、その弁済をした者は返還の請求をすることが
できません。
◇不法原因給付
不法な原因のために給付をした者は、その給付をしたものの返還を請求す
ることができません。ただし、不法な原因が受給者にのみ存するときは、
返還請求ができます。
◎関連記事
・民法とは・・
・債権とは・・
(記事作成日、平成29年3月30日)