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明文のない権利も13条後段により保障されうる。法の下の平等は相対的平等で
ある。
◆生命・自由・幸福追求権
◎包括的基本権
日本国憲法に規定される人権規定は、歴史的に国家権力に侵害されることが
多かった重要な権利や自由を列挙したものにすぎず、すべての人権を網羅し
て掲げたものではありません。
また、憲法制定時と現在とでは、社会情勢や国民の考え方に大きな変化が
あります。それに伴い生じた諸問題について、憲法に明文がないからと
いって、法的に対応しないというのでは、憲法が掲げる「個人の尊重」を
全うすることはできません。
そこで、憲法が明文で規定していなくても、保障すべき人権があると考え
られます。これが新しい人権という概念です。
憲法は、歴史上重要な権利については14条以下で具体的に規定を置いて
保障していますが、これらに含まれない新しい権利についても、13条後段
により、人権として保障されることがあります。
◎幸福追求権とは
◇憲法13条
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する
国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の
上で、最大の尊重を必要とする。」
つまり、13条にいう「幸福追求権」は、憲法に列挙されていない新しい
人権の根拠となる、一般的かつ包括的な権利といえます。
◎新しい人権とは
新しい人権の代表的なものに、①プライバシー権と②自己決定権(人格的
自律権)があります。
◇プライバシー権
プライバシーの権利について、最高裁は明確に内容を提示していませんが、
一つひとつの事件のなかで保障されるか否かを判示しています。
◇プライバシー権に関する定義
◇「宴のあと」事件
いわゆるプライバシー権は私生活をみだりに公開されない法的保障
ないし権利として理解される
→個人の私的領域に他者を無断で立ち入らせないという自由権的・
消極的なもの
◇通説
プライバシー権とは、自己に関する情報をコントロールする権利を
いい、自由権力側面のみならず、プライバシーの保護を公権力に
対して積極的に請求していくという請求権的・積極的側面も有する
◇自己決定権(人格的自律権)
自己決定権とは、個々の人格的生存にかかわる重要な私的事項を、公権力
の介入や干渉を受けることなしに各自が自律的に決定できる権利をいい、
憲法上の具体的な権利として位置づけられます。たとえば、ライフスタイル
を決める自由、家族のあり方を決める自由や医療拒否など生命の処分を
決める自由などがこれにあたります。
◇その他の新しい人権
その他の新しい人権として、肖像権、環境権、日照権、嫌煙権、アクセス権
(反論権)などが主張されています。
◇重要判例
京都府学連事件
デモ行進が違法な状態で行われていたため、警察官が、捜査活動の一環
として犯罪の証拠を残すため、違法な行進の状況を写真撮影したが、
撮影さえる者の同意を得て行われたものでなかったため、撮影の違法性
が争われた事件
◇判示
個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだり
に個人の容ぼう・姿態(以下「容ぼう等」という。)を撮影されない
自由を有するものというべきである。これを肖像権と称するかどうか
は別として、少なくとも、警察官が、正当な理由もないのに、個人の
容ぼう等を撮影することは、憲法13条の趣旨に反し、許されない
ものといわなければならない。
◆法の下の平等
◎憲法14条
「1、すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分
又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されな
い。
2、華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3、栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の
授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その
効力を有する。」
◎14条の趣旨
14条は、「国家は国民を不合理に差別してはいけない」との原則を定めた
ものです。その意味は、次の二つです。
◇14条の意味
①直接的な法規範として、立法・行政・司法のすべての国家行為を拘束する
②個々の国民に対し、法的に平等に扱われる権利ないしは不合理な差別を
受けない権利(平等権)を保障する
◎「法の下」に平等の意味
法の下に平等であるとは、法が存在しそれを適用する場面での平等、つまり
「法を平等に適用すること」を意味しているように読めます。文言からいえば
確かに適用の平等をいうのは疑いありませんが、それだけではなく、「法の
内容の平等」までを含むものと考えるのが、通説の見解です。
したがって、法適用の平等のみならず、法そのものの内容も、平等の原則に
よって定立されるべきです。
日本国憲法第14条1項では、法の下の平等を定めています。
「1、すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分
又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、
差別されない。
2、華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3、栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。
栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、
この効力を有する。」
14条は、「国家は国民を不合理に差別してはいけない」との原則を定めた
ものになります。
◎直接的な法規範として、立法、行政、司法のすべての国家行為を拘束します。
◎個々の国民に対し、法的に平等に扱われる権利ないし不合理な差別を
受けない権利(平等権)を保障する。
◆「法の下」に平等の意味
法の下に平等であるとは、法が存在しそれを適用する場面での平等、
つまり「法を平等に適用すること」を意味しているように読めます。
文言からいえば、確かに適用の平等をいうのは疑いありませんが、
それだけではなく、「法の内容の平等」までを含むものと考えるのが、
通説の見解です。
したがって、法適用の平等のみならず、法そのものの内容も、
平等の原則によって定立されるべきです。
内容が不平等な法律を平等に適用しても、
平等の保障は実現されないからです。
◆形式的平等と実質的平等
形式的平等とは、人の現実のさまざまな差異を一切切り捨て、
一律に平等に取り扱うことをいい、「機会の平等」ともいいます。
これに対し、実質的平等とは、人の現実の差異に着目して、
その格差の是正を行うことをいい、「結果の平等」ともいいます。
この点について14条は、形式的な平等を原則としていると考えられています。
ただし、実質的な平等の観点も社会権の保障等によって実現していこうと
しています。
形式的な平等のみならず、実質的な平等も加味して平等原則をとらえる結果、
平等とは、絶対的平等ではなく相対的平等を意味することになります。
相対的平等とは、人の事実の差異に着目し、「等しいものは等しく、
等しくないものは等しくないように取り扱う」ということです。
言い換えれば、相対的平等とは、「不合理な差別は認めない」ということに
なります。
したがって、社会通念から見て、合法的な区別である場合には、
そのような区別は不平等とはいえず、憲法14条に違反するとは言えません。
◆平等の具体的内容
14条1項後段に列挙された自由は、歴史的に差別がなされてきた事由、
すなわち、人種、信条、性別、社会的身分および門地を例外的に
列挙したものになります。
したがって、これら以外の自由についても保証は及ぶとするのが、
通説、判例の立場になります。
◆議員定数不均衡の合憲性
議員定数不均衡とは、選挙区ごとの議員定数が適切に配分されていないため、
議員一人あたりの有権者数に較差が生ずることを言います。
この場合は、「一人一票」の原則は守られており、14条は形式的平等を
原則とするため、問題はないようにも思えます。
しかし、議員一人あたりの有権者数が異なるということは、
有権者が有する一票の価値が異なるということになり、
実質的には「一人一票」の原則が破られてしまいます。
そこで、14条の平等には「投票価値の平等」まで含まれているのでは
ないかが、問題となりました。
◎関連記事
・憲法とは・・
・基本的人権の尊重とは・・
・平等権とは・・
(記事作成日、平成29年4月4日)