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債務不履行の態様には、①履行遅滞、②履行不能、③不完全履行がある。
◆債務不履行とは
債務不履行とは、債務者が債務の履行を果たさないことをいいます。
債務不履行とは、債務者が債務の趣旨(債務の本旨という)にかなった履行を
しないことをいい、債務不履行によって債務者が負う責任のことを債務不履行
責任といいます。
◆債務不履行の種類
債務不履行には、履行遅滞、履行不能および不完全履行という三つの態様が
あります。
履行遅滞とは、履行が可能であるにもかかわらず、履行期に債務者が履行を
しないことをいいます。履行不能とは、履行が不可能になったことをいいます。
不完全履行とは、債務者の果たした義務が契約の内容からみて不完全である
ことをいいます。
◎債務不履行は3種類
◇履行遅滞:債務の履行は可能←履行が遅れているだけ
◇履行不能:債務の履行は不可能
◇不完全履行:債務の履行が可能な場合と不可能な場合とがある
◆債務不履行の効果
債務者が債務を履行しないときには、債権者は、その債務の履行を債務者に
請求することができます。債務者が任意に履行しなければ、債権者は裁判所に
債務の内容の実現を請求することができます。
債務不履行があると、このほかにも債権者に損害賠償請求権と解除権が発生
します。
債務不履行の効果には、①履行の強制、②損害賠償、③解除があります。
◎履行の強制
債務者が契約に従って債務を履行しないときに、債権者は、その債権の内容
を強制的に実現するよう、裁判所に請求することができます。履行の強制の
方法には、直接強制、代替執行および間接強制の3種類があります。
履行の強制により、債権の内容を強制的に実現しても、なお債権者に損害が
生じている場合、債権者は、債務者に対して、その賠償を請求することが
できます。
◇履行の強制の種類
◇直接強制
債務者に意思にかかわらず、国家権力により、債権の内容を直接に実現
する方法。対象となる債務は、金銭の支払い、物の引渡しなどの「与え
る債務」。
◇具体例
◇売買代金債務
→買主の財産を差し押さえ競売し、売却代金から配当を得る。
◇売買目的物の引渡債務
→執行官が売主から売買の目的物を取り上げ、買主に引き渡す
◇代替執行
債務者の費用で、債務者以外の者にその行為を代わってさせ、債権の
内奥を実現する方法。対象となる債務は、債務者の一定の行為を目的と
する「為す債務」のうち、他人が代わりに行えるもの。
◇具体例
◇自動車を修理する債務
→債務者以外の修理業者に自動車を修理させ、その費用を債務者に
請求する
◇一定の土地に建物を建築しない債務
→建築業者に約定違反の建物を取り壊させ、その費用を債務者に
請求する
◇間接強制
一定の期間内に債務を履行しなければ、一定の金額を債権者に支払う
よう債務者に命じて、債務者への心理的強制を通じて債権の内容を
実現する方法。対象となる債務は、金銭債務(養育費など、扶養義務
に係る定期金等の債務を除く)以外の債務。
◇具体例
◇親権者が、離婚した元配偶者を子と面接させる義務
→これに違反した場合、親権者は、違反1回につき5万円を
元配偶者に支払う
◇建物を暴力団の事務所として使用してはならないとする義務
→これに違反する状態が継続する場合、債務者は、違反1日に
つき100万円を債権者に支払う
◎損害賠償請求
◇損害賠償請求の要件
債務不履行に基づく損害賠償請求の要件は、「債務不履行の事実がある
こと」、「債務者に帰責事由があること」、および「債務不履行と因果
関係のある損害が発生していること」の三つです。このうち、「債務
不履行の事実があること」については、債務不履行の種類ごとに述べた
とおりにであり、ここでは、残り二つの要件についてみていきます。
◇債務者に帰責事由があること
債務者の帰責事由とは、債務者の非難されるべき原因のことです。
具体的には、債務者が、履行が可能であるにもかかわらず「わざと履行
しない(故意という)」場合や、債務者の立場にある一般的な者に要求
される注意を払わず、「不注意で履行しない(過失という)」場合に、
債務者に帰責事由があるとされます。
さらに、債務者に代わって履行を行う者が別にいる場合は、その者の
故意または過失についても、債務者は自分自身の故意または過失として
責任を負わなくてはなりません。
なお、債務者の故意または過失の存否が問題となった場合に、債権者と
債務者のどちらがその証明をする必要があるでしょうか。
これについては、債務者のほうで、自分に故意または過失がなかったと
証明する責任(立証責任または証明責任という)があります。何も
債権者のほうで債務者の故意あたは過失を立証する責任はありません。
なぜなら、債務者はもともと債務の本旨に従った履行をするべき責任を
負っているからです。債務者のほうであえて自分は履行しないことに
ついて悪くないと主張したいのなら、自分でその根拠(故意または
過失がなかった)を示すべきだからです。
◇債務不履行と因果関係のある損害が発生していること
損害とは、債務不履行により債権者がこうむった財産上の不利益のこと
です。損害は、財産に対して加えられる財産的損害と、それ以外の
非財産的損害に分けることができます。また、財産的損害は、現に有する
財産が減少する積極的損害と、本来なら取得できたはずの財産を取得し
損ねる消極的損害に分けることができます。
◇債務不履行の形態別の損害賠償請求の内容
◇履行遅滞の場合
履行が遅れたことで発生した損害について債権者は債務者に対して
損害賠償ができます。この場合の損害は、遅延したことでこうむった
損害ですから、遅延賠償とよばれます。
◇履行不能の場合
履行が不能になったことで発生した損害について、債権者は債務者に
対して賠償を請求できます。この場合の損害は本来の履行に代わる損害
の賠償となるので、填補賠償とよばれます。
◇不完全履行の場合
不完全履行の効果は、①完全に義務を果たすこと(追完という)が可能
である場合と、②完全に義務を果たすことが不可能な場合とに分けて
検討する必要があります。
◇追完が可能な場合
たとえば、大量生産される食品や文房具などの引渡債務において、
数量が不足していた場合には、不足分を追って履行させて義務を完成
させることが可能です。
したがって、追完可能な場合には改めて債務の完全な履行を請求する
ことができます。これを追完請求権といいます。
追完請求権を行使しても、債務者が追完しなかったらどうなるで
しょうか。その場合には、履行遅滞に準じて考えます。つまり、
債権者は債務者に遅延賠償を請求することができます。
◇追完が不可能な場合
ととえば、ペットショップで犬を買ったところ、ペットショップの
不注意が原因で引渡しの前に犬が病気にかかり、引渡しの後すぐ死亡
したような場合が考えられます。この場合、履行不能に準じて、
債権者は債務者に填補賠償を請求することができます。
◇損賠賠償の方法
損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその金額を定める
とされています(金銭賠償の原則)。つまり、債務不履行の結果、現在の
債権者の財産的な状況と、債務不履行がなかったとしたら現在あっただろう
財産的な状況との差額を、金銭に評価して損害賠償請求するのが原則です。
◇損害賠償の範囲
債務不履行があった場合、損害賠償請求が債権者から債務者側に対して
認められるのですが、その損害賠償請求が認められるのはどこまでの
範囲でしょうか。
債務不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の
賠償をさせることが目的なのです。
ただし、特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を
予見し、または予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求
することができます。
◇損害賠償の範囲
◇原則
通常損害
→債務不履行によって通常生ずべき損害の賠償を請求できる
◇例外
特別損害
→債務者が特別の事情を予見し、または予見することができたときは、
債権者は、その特別な事情から生じた損害の賠償を請求することが
できる。
◇損害賠償額の算定方法
損害賠償の額を算定するにあたっては、いつの時点を基準として算定する
かが問題となりますが、判例は、原則として債務不履行時が基準となると
しています。
履行遅滞の場合は、履行期が債務不履行時となります。
これに対し、履行不能の場合は、履行不能時が債務不履行時となります。
ただし、例外として、目的物の価格が上昇している場合、履行不能時に
債務者が価格上昇の事実を知り得たときは、騰貴した現在の価格で算定
することも認められます。なお、上昇前にほかに処分したと予想される
場合には、処分予定時を基準に算定することになります。
◇損賠賠償額の予定
損賠賠償額の予定とは、債務不履行があった場合に債務者が賠償するべき
金額を、あらかじめ当事者間の契約で定めておくことをいいます。なお、
違約金の定めは、損賠賠償額の予定と推定されます。
損賠賠償額の予定をした効果は、債権者は債務不履行の事実さえ証明でき
れば、損害発生や損害額を証明する必要がなく、予定した賠償額を請求で
きます。ただし、損害賠償額の予定が公序良俗違反となるときは、その
全部または一部が無効です。
また、相手方が損賠賠償額の予定において定めた額に不満をもって裁判所
に訴え出たとしても、裁判所は、予定額を増減することはできません。
当事者間の意思で決定したことだからです。
◇過失相殺
過失相殺とは、債務不履行に関して債権者にも過失があったときは、
裁判所はこれを考慮して、損害賠償の責任および額を定めることをいい
ます。債権者側の過失も考慮することで、当事者間の公平を図っています。
裁判所は、損害賠償の責任および額について必ず判断しなければなりま
せん。その結果、賠償額を軽くするだけでなく、事情によっては賠償責任
自体を全部否定することも可能です。
◇金銭債務の特則
たとえば、代金債務や貸金債務のように、金銭を目的とする債務について
は、損害賠償の請求がたやすくできるように、次のような特則が定められ
ています。
◇要件に関する特則
◇金銭債務の不履行の種類
履行不能はなく、履行遅滞のみ認められる
◇不可抗力
不可抗力によることを証明できても、責任は免除されない
◇損害の証明
債権者は、損害の証明をすることなく、損害賠償を請求することが
できる
◇効果に関する特則
◇原則
損害賠償を請求できる金額は、法定利率(年5%)により計算される
◇例外
当事者間で遅延賠償の予定を定めている場合には、その予定に従う
◎解除
◇解除とは
解除とは、契約成立後、一方の当事者からの意思表示によって、契約を
はじめからしなかった状態に戻すことをいいます。
◇債務不履行の形態別の解除権発生の要件
◇履行遅滞の場合
いくら待っても債務者が履行してくればければ、債権者は契約の解除を
することができます。ただし、履行期を過ぎればいつでも解除ができる
というわけではありません。履行遅滞があった場合、債務者に相当の
期間を定めて履行の催告をして、その期間内に履行がないときに、
債権者は契約の解除ができます。
◇解除をするまでの流れ:自宅の売買契約のケース
①自分が負っている債務について弁済の提供をする
例:買主が履行期日に、代金を売主宅へ持参する
↓(債務者である売主が自宅を引き渡さない)
②相当の期間を定めて履行の催告をする
例:「◎月◎日までに履行して下さい」
↓(相当の期間が経過)
③期間内に履行がなければ、解除をすることができる
例:「期間内に履行がなかったので、解除します」
◇履行不能の場合
履行不能の場合にも契約の解除ができますが、履行遅滞の場合とは要件
が異なります。すなわち、債務の履行は不可能なため、催告は無意味で
あり、債務者に履行の催告をすることなく、債務者はただちに解除が
できます。
◇不完全履行の場合
不完全履行については、損害賠償と同様、①追完が可能である場合には、
履行遅滞に準じて考え、解除をするにあたって債務者に履行の催告を
する必要があります。これに対し、②追完が可能である場合には、
履行不能に準じて考え、債務者に履行の催告をする必要はありません。
◆受領遅滞
債権者が、債務の履行の受領を拒絶し、または受領不能の場合、債務者は
債務不履行責任を免れる。
受領遅滞とは、債務の弁済にあたって受領など債権者の協力が必要な場合に、
債務者が債務の本旨に従った弁済の提供をしたのに、債権者が協力してくれず、
履行ができない状態になっていることです。債権者遅滞ともよばれます。
◇受領遅滞の要件
①債務者が債務の本旨に従った弁済の提供をすること
②債権者が弁済の提供の受領を拒絶し、あるいは受領不能の状態になること
◇受領遅滞のおもな効果
①債務者は、債務不履行の責任を負わない
②債務者は、供託により債務を免れることができる
③債権者は同時履行の抗弁権を失う
契約が成立しても、債務者が約束した日に履行をしないか、
または、債務の本来の目的に従わず違った方法で履行をした場合、
債権は目的を達成することができないため、消滅しません。
債務者が、債務の履行期日に債務の本来の目的に従って履行しないことを
債務不履行と言います。
債務不履行が生じた場合、すなわち債務者が債務を本来の目的に従って
履行しなかった場合、債務者は債務不履行についての責任を負います。
◆履行遅滞
債務者が履行期日に債務を履行しなかった場合を履行遅滞と言います。
(詳細→「履行遅滞とは・・」)
◆不完全履行
債務者が履行期日に債務を履行したけれども、そのやり方が
適切でなかったり、品物の数が足りなかったりする場合があります。
このような場合を不完全履行と言います。
(詳細→「不完全履行とは・・」)
◆履行不能
たとえば、債権の目的が住宅の引渡しだった場合に、肝心の住宅が
履行期日の前に、債務者の火の不始末で火事で燃えてしまったときは、
もはや履行をすることができません。
この場合は、履行期日を待つまでもなく、債務不履行となります。
このような場合を履行不能と言います。
(詳細→「履行不能とは・・」)
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・契約とは・・
・契約の当事者とは・・
・契約の成立とは・・
(記事作成日、平成29年3月29日)