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◆司法権
司法権は、法の適用・宣言により具体的な争訟を裁定する国家作用であり、
すべて裁判所に属する。
◎司法権の意味
◇憲法76条1項
「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する
下級裁判所に属する。」
◇司法権とは
司法権とは、具体的な争訟について、法を適用し、宣言することによって、
これを裁定する国家の作用を言います。
この司法概念は、次の四つの重要な要素で構成されています。
①具体的な争訟の存在
②適正手続の要請等に則った特別の手続
③独立した裁判
④正しい法の適用を保障する作用であること
◇司法権の範囲
76条2項は、特別裁判所の設置を禁止し、行政機関による終審裁判を
禁止しています。日本国憲法が施行される以前は、行政事件は特別裁判所
である行政裁判所の管轄とされていました。つまり、司法権の範囲は、
民事裁判と刑事裁判のみとされていたのです。日本国憲法は、公正かつ
公平な裁判を実現するため、すべての裁判作用を司法権に含むことと
しました。
◇法律上の争訟
司法権を構成する要素のなかで最も重要なのは、「具体的な争訟」です。
この具体的な争訟にあたらなければ、原則として裁判による救済を受ける
ことができないからです。裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」も、
具体的な争訟のことを指すとされています。
◇法律上の争訟の要件
①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争
司法権の対象となるのは具体的な紛争であり、具体的な紛争とは
無関係に、裁判所に抽象的な法令の解釈や効力についての審査を
求めることはできません。
たとえば、国会が検閲を許す法律を制定し、行政機関がこれを
執行し、表現者Aが検閲を受けたとします。この場合に、Aは訴訟を
提起して自分に対して行われた検閲の憲法違反および検閲の根拠と
なった法律の憲法違反を主張することができます。
これに対して、たとえば、Aの友人BがAに対する検閲に腹を立てて
いても、Bが検閲を受けたわけではないので、Bには具体的な紛争が
生じていませんから、司法権の発動を求めることはできないのです。
②法律を適用することにより、終局的に解決することができるもの
◇司法権の限界
司法権の限界とは、法律上の争訟ではあるが、裁判所が司法審査しない、
またはできない事項をいいます。
◇憲法上の明文上の限界
◇議員の資格争訟の裁判
議院の自律権の問題→各議院で裁判
◇裁判官の弾劾裁判
両議院の議員からなる弾劾裁判所を設置
→通常の裁判所では、裁判できない
◇国際法上の限界
国際法上の限界として、たとえば、外交官の治外法権や条約による
裁判権の制限などがあります。
◇憲法上の解釈の限界
◇自律権
国会または各議員の内部における、議事手続や懲罰については、
他の機関からの圧迫や干渉を受けずに判断ができなければ
なりません(自律性)。
この点、裁判所による司法審査も、他の機関からの圧迫、干渉と
なるので裁判所は各議院の議事手続や懲罰については司法審査が
できないということになります。
◇自由裁量
国務大臣の任命および罷免や国務大臣の訴追の同意は、内閣総理
大臣にのみ認められている権限(専任事項)です。また、恩赦の
決定は、内閣にその判断が委ねられています。
したがって、これらの行為については、裁判所の司法審査を
及ばないとされています。
◇統治行為
三権を担う機関のうち、国会は、選挙で国民によって選出された
議院からなります。内閣は国会の信任によって成立しています。
つまり、国会と内閣とは、民主的な期間であるといえ、政治部門と
いわれます。
これに対して、裁判所は、少数者の人権保障のために、国会や
内閣と比べて民主的基盤が弱く、政治的に中立であることを
求められます。
したがって、高度に政治性のある行為については、政治部門の
なかで解決されるのが望ましいと考えられ、法的判断が可能で
あっても、裁判所は司法審査をしないとされています。
判例は、その根拠に権力分立をあげています。
◇部分社会の法理
市民社会のなかには、たとえば、政党や学校のさーるくなど、
部分部分に個別の社会が存在します。
これらの部分社会のなかには、それぞれ個別のルール(規範)が
存在する場合があります。
これらの部分社会内部の紛争については、一般市民社会と直接関係
を有しない限り、部分社会における自治を尊重し、その部分社会
内部の規範によって解決するべきであり、司法審査の対象と
ならないと考えられています。このような考え方を部分社会の
法理といいます。
◆裁判所の組織
裁判所には、最高裁判所と4種類の下級裁判所とがある。裁判は、原則として
公開される。
◎裁判所の種類と構成
◇憲法79条1項
「最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官
でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命
する。」
◇裁判所の種類
裁判所は最高裁判所と下級裁判所とに分けれます。下級裁判所には、
高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所および簡易裁判所の4種類が
あります。
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣で
これを任命します。その裁判官は、任期を10年とし、再任されることが
できます。ただし、法律の定める年齢に達した時には退官します。
◇裁判所の構成
◇憲法76条2項
「特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は終審として
裁判を行ふことができない。」
憲法は法の支配の原理をとっていますから、すべての裁判は、通常の司法
裁判所一系列で行われます。それを76条が規定しています。
なお、行政機関も、終審ではなく「前審」としてなら、裁判を行うことが
許されます(76条2項後段の反対解釈)。行政が専門化および高度に
技術化してきており、行政機関による判断を認めたほうが、より正確かつ
迅速な審査を行うことができるといえるからです。
◎規則制定権
◇憲法77条
「1、最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び
司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
2、検察官は、最高裁判所の定める規則は従はなかえればならない。
3、最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所
に委任することができる。」
◎最高裁判所裁判官の国民審査
◇憲法79条2項~4項
「2、最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員
総選挙の際国民の審査に付し、その後10年を経過した後初めて行は
れる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
3、前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、
その裁判官は、罷免される。
4、審査に関する事項は、法律でこれを定める。」
最高裁判所は、法律などが憲法に適合するか否かを決定する権限を有する
終審裁判所という重要な役割を果たしたいます。そこで、国民が直接、
裁判官にコントロールを及ぼす制度として、国民審査が規定されています。
判例は、国民審査の法的性質は、国民が罷免を可とした者を解釈するという
「リコール制」であるとしています。
◎裁判の公開
◇憲法82条
「1、裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
2、裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する
虜があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことが
できる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で
保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを
公開しなければならない。」
◇裁判公開の原則と例外
◇原則
裁判の対審と判決は、公開法廷で行う
◇例外
次の両方に該当する場合は、対審を非公開にできる
①裁判官が全員一致したこと
②公の秩序または善良の風俗を害するおそれがあると決したこと
◇例外の例外
次のいずれかに該当する場合は、常に対審を公開しなくてはならない
①政治犯罪
②出版に関する犯罪
③憲法第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件
◆司法権の独立
裁判所および裁判官は、他の機関から独立して職権を行使する。裁判官の
身分は保障される。
◎司法権の独立とは
◇憲法76条3項
「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、その憲法及び
法律にのみ拘束される。」
◇司法権の独立とは
裁判で最も大事なことは、裁判が公正に行われることです。たとえば、
行政側が訴えられた場合に、行政機関の圧力に屈して国民の権利が実現
されないようなことにならないため、裁判所および裁判官は、他の機関
からの圧力や干渉を受けないようにしなければなりません。この考え方を
司法権の独立といいます。
◇司法権の独立の内容
まず、実際に裁判を行う裁判官がほかから干渉を受けないで自由に裁判が
できるゆにしなければなりません。そこで、裁判官には職権行使の独立や
身分保障が定められています。次に、個々の裁判官が独立して職権行使が
できるようにするため、全体としての裁判所が、他の国家機関から独立
して活動を行えるような仕組みが必要です。これを「司法府の独立」と
いいます。
◇司法権の独立の内容
◇個々の裁判官の職権行使の独立(司法権の独立の中核)
職権行使の独立の実効性を保障するため、個々の裁判官の身分を保障
◇司法府の独立
職権行使の独立を他の国家機関の不当な圧力や干渉から守る
◎裁判官の身分保障
裁判官の職権行使の独立を実効性あるものとするためには、裁判官の身分が
保障されなければなりません。
◇裁判官が罷免される場合
次の場合に限定されています。
◇裁判官の罷免事由
①心身の故障…病気の場合など
②公の弾劾…弾劾裁判所による裁判
③最高裁判所裁判官の国民審査
◇憲法78条前段
「裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができない
と決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。」
◇司法行政権
司法権を行使する裁判所の設営および管理などの行政作用を行う権限、
すなわち、私法行政権は、司法権の独立を確保するため、その多くは
裁判所に帰属します。
たとえば、下級裁判所の裁判官の指名は、最高裁判所が行います。また、
懲戒権限も裁判所自身に与えられており、行政機関による懲戒は許されて
いません。
◇相当額の報酬の保障
裁判官は、定期かつ相当額の報酬の保障と、その減額の禁止が憲法上
定められています。
◇憲法79条6項
「最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。
この報酬は、在任中、これを減額することができない。」
◇憲法80条2項
「下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。
この報酬は、在任中、これを減額することができない。」
◆違憲審査権
裁判所は、法令等が最高法規である憲法に適合するか否かを決定する、
違憲審査権を有する。
◎違憲審査権とは
◇憲法81条
「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するか
しないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」
◇違憲審査権の意義
違憲審査権とは、法律、命令、規則、処分が憲法に適合しているか否かを
決定する権限のことです。最高裁判所は、違憲審査権を有する終審裁判所
です。
違憲審査権は、98条1項で規定されている憲法の最高法規性を守ること
を通じて、国民の人権保障をしていく制度です。
◇憲法98条1項
「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅
及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」
◇法的性質
裁判所はいかなる場合に違憲審査権を行使することができるかについて、
次の2種類の考え方があります。
◇抽象的違憲審査制および付随的違憲審査制
◇抽象的違憲審査制および付随的違憲審査制
◇抽象的違憲審査制
具体的な訴訟とは関係なく、法令自体の違憲性を主張して抽象的に
違憲審査権を行使できる。
◇付随的違憲審査制
具体的訴訟事件を裁判する際に、その前提として事件の解決に必要な
限度で、違憲審査権を行使できる。
日本国憲法が、司法権の帰属する裁判所に違憲審査権を与えている以上、
裁判所が付随的違憲審査を行うことができるという点について争いは
ありません。
では、具体的な事件を離れて、抽象的違憲審査を行うことはできるで
しょうか。通説および判例は、これを否定しています。その理由は、
①81条は「第六章司法」の章にあり、司法とは具体的な権利義務ないし
法律関係の存否に関する争いを前提とし、それに法令を適用して紛争を
解決する作用でさること、および②抽象的違憲審査を認めるならば、
憲法上、それを積極的に明治する規定があるはずですが、そのような規定は
ないことです。
◎違憲審査権の内容
◇違憲審査をする主体
憲法上、「最高裁判所は」と規定されていますが、判例および通説は
下級裁判所にも違憲審査権はあるとしています。
◇違憲審査をする対象
「一切の法律、命令、規則又は処分」です(81条)。つまり、憲法の下に
ある、一切の国内法規範や個別具体的な公権的行為が含まれます。
違憲審査権の対象として特に問題となるのは条約です。条約は、81条の
列挙事項に入っていないので、対象とならないのでしょうか。
この点について、判例および通説は、条約は違憲審査権の対象となると
考えています。なぜなら、条約には国際法的側面と国内法的側面とがあり、
国内法的側面のみを違憲無効とすれば、条約の相手国を害することはない
からです。先にみた砂川事件最高裁判判決も、日米安保条約が高度の
政治性を有することを理由に違憲判断を差し控えたのであり、条約である
ことは理由としていません。そこで、条約一般に対する違憲審査の可能性
事態は認めたものと考えられています。
◎違憲判決の効力
ある法律の規定について、最高裁判所が違憲判決を下した場合に、その規定は
どのように扱われるのでしょうか。これについては、次の2種類の考え方が
あります。
◇一般的効力説と個別的効力説
◇一般的効力説
違憲とされた法律は一般的に無効となり、削除されたのと同様になる
<理由>
①最高裁判所が合憲性について最終判断権をもっている以上、違憲と
判断された法律は当然無効である
②法的な安定性を重視すべきである
③平等原則に合致する
◇個別的効力説
違憲とされた法律は当該事件に限って、適用が排除される
<理由>
付随的審査制の下では、当該事件の解決に必要な限りで審査が行われ、
違憲判決の効力も当該事件に限って及ぶと考えられる。
この点につき、わが国の通説となっているのは、個別的効力説を前提と
して、判決の効力は当該事件に限られるが、国会は、違憲とされた法律を
すみやかに改廃し、政府はその執行を控え、検察はその法律に基づく起訴
を行わないなどの措置をとることを憲法は規定しているとみるべきである
という考え方です。
日本国憲法では、すべての司法権は、最高裁判所と法律の定めにより
設置される下級裁判所に属します。
つまり、裁判所は、司法権を行使する唯一の国家機関になります。
司法権とは、具体的な訴訟について、法を適用し、宣言することによって、
これを裁定する国家の作用のことを言います。
ここで一番大事なのは、具体的な訴訟になります。
これは、当事者間の具体的な権利義務や法律関係の存否に関する紛争であって、
法律を適用することにより終局的に解決可能なものを言います。
裁判所が審査することができるのは、その事件が法律上の争訟に
あたるものだけになります。
裁判所は、最高裁判所と下級裁判所に分かれます。
下級裁判所には、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所が
あります。
日本の裁判制度では、三審制がとられており、同一の事件につき、
原則として、裁判所の判断を3回受けることができます。
◆司法権の独立
立法や行政が政治と大きく関係するのに対して、司法は非政治的な
権力です。
このため、司法権は、立法権や行政権によって侵害される危険性が
大きいのです。
また司法は、裁判を通じて国民の権利を保護することを役目として
いるので、政治的権力の干渉を排除して、少数者の保護を図ることが
必要とされました。
そこで、日本国憲法では司法権の独立が著しく強化されています。
(詳細:「司法権の独立とは・・」)
◆司法権に対する民主的統制
憲法では、司法権の独立が定められていますが、このことは司法の独善化を
許すものではありません。
司法権も民主的にコントロールされることが必要となります。
(詳細:「司法権に対する民主的統制とは・・」)
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(記事作成日、平成29年3月30日)