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◆物権変動
◎物権変動とは
◇物権変動とは
物権変動とは、物権の発生、移転、移転または消滅をいいます。たとえば、
AがBに自宅を売る契約をするとします。この場合、Aの自宅の所有権が
AからBへ移転します。これは、物権の一つである所有権の移転という
物権変動です。
◇物権変動の発生原因
では、どのような事実であれば物権変動は生ずるのでしょうか。物権変動
を生じさせるものの一つとして、売買契約などの契約が成立することが
あげられます。
しかし、契約によらずに発生する場合もあります。たとえば、先に学習
した「取得時効」によって不動産の所有権を取得する場合や、「相続」に
よって被相続人から相続人に不動産の所有権が移転する場合があります。
◇物権変動の発生時期
契約による物権変動については、当事者間で特に約束(特約という)を
しない限り、契約が成立した時点で、所有権の移転などの物権変動が
生じます。
◎意思主義
物権変動が生ずるために、何か特別な手続は必要なのでしょうか。これに
ついては、二つの考え方があります。
まず、物権変動が生ずるためには、当事者の意思表示だけでよく、ほかに
何も特別な手続は必要ないという考え方(これを意思主義という)です。
もう一つは、意思表示だけでなく、登記や引渡し等の一定の形式がなければ
物権変動は生じないとする考え方(これを形式主義という)です。
民法は、176条で「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによっ
て、その効力を生ずる」としており、意思主義の立場に立つものと考えられ
ています。
◆不動産物件変動
不動産物件変動は、原則として、その登記をしなければ第三者に対抗することが
できない。
◎不動産物件変動の対抗要件
契約は、同一の目的物について複数締結することができるので、たとえば、
AがBにA所有の土地を譲渡した後、同じ土地を二重にCにも譲渡する契約
が締結されるのを防ぐことはできません。また、動産と違って、不動産は
誰の所有物かは外から見ただけではなかなかわかりにくいという事情があり
ます。
この場合に、土地の買主であるBとCは、どちらが物権変動によって所有権
を取得したのかをはっかりと決めてもらわないと困ります。
このような問題を解決する基準が、不動産物件変動の対抗要件なのです。
つまり、一つの物の権利をめぐって「私が真の権利者だ」と主張し合うこと
を対抗問題といいますが、これを解決する基準が対抗要件です。そして、
不動産物件変動の対抗要件は登記です。
民法は「不動産に関する物権の特喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に
関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗する
ことができます」と定めています。
このように、不動産物件を取得した者は、登記をすることによって不動産物権
を第三者に対抗することができます。そして、不動産の買主には、売主に対し
て、「登記の申請に協力せよ」という請求権が認められています。これを
「登記請求権」といいます。
◎177条の「第三者」とは
それでは、登記がなければ対抗することができない「第三者」とは、一体
どのような者でしょうか。
第三者といえば、一般に「当事者以外の者」を広く指します。しかし、登記
がなければ不動産物件変動を対抗できない「第三者」はもっと限定的にとら
えられています。
すなわち、177条の「第三者」は、当事者(相続人などの包括的な承継人
も含む)以外の者で、不動産の物件変動につき、登記がないことを主張する
正当な利益を有する者であるとされています。
◎登記なくして対抗できる第三者
登記がなくても物権変動を対抗できる第三者には、次に示す者がいます。
◇登記なくして対抗できる第三者
①無権利者
②不法占拠者または不法行為者
③詐欺や強迫によって登記申請を妨げた第三者または他人のために登記申請
をする義務のある者
④前主と後主の関係になる者
⑤相続人
⑥背信的悪意者
◇無権利者
無権利者とは、何も権利を有していない者です。
たとえば、虚偽表示の相手方のように、本来権利を有していないのに登記
簿上の名義人になっている者や、無効な登記がされた場合の登記名義人の
ような者をいいます。
◇不法占拠者または不法行為者
不法占拠者とは、何らの正当な権限もなく他人の不動産を使用している者
です。不法行為者は他人の家屋を勝手に壊すなどの行為をする者です。
◇詐欺や強迫によって登記申請を妨げた第三者または他人のために登記申請
をする義務のある者
これらの者については不動産登記法に規定があります。
たとえば、AがBとCに自分の土地を二重に譲渡し、Bが登記の申請を
しようとしたところ、CがBを欺いたり強迫したりしてBの登記申請を
妨げている間に、Cが先に登記を得たとします。この場合においては、
Bは、登記がなくても土地の所有権をCに対抗できます。
◇前主と後主の関係になる者
土地がAからB、BからCへと順次に譲渡された場合に、AとCとは前主
と後主の関係になります。この場合には、AとCは所有権を争う関係にな
く、Aは、BC間の物権変動を否定しても何ら権利を得られるわけでは
ないので、Cに登記がないことを主張する正当な利益を有しているとは
いえません。したがって、この場合のCは、Aに対して、登記がなくても
所有権を主張できます。
◇相続人
たとえば、土地の売主Aが買主Bに登記を移転する前に死亡した場合に、
土地の買主Bが自己の所有権を売主Aの相続人Cに対抗できるかどうかが
問題となります。
この場合に、相続人は売主と同視でき、当事者となるので第三者にあたり
ません。したがって、上記の例では、買主Bは売主Aの相続人Cに対して
登記がなくても土地の所有権を主張できます。
◇背信的悪意者
背信的悪意者とは、単なる悪意ではなく、第三者を害する目的をもって
取引をした第三者です。たとえば、AがBにその自宅を売り渡したが
まだBは登記をしていない場合に、そのことをCが知り、Bを困らせる
ためだけの目的でAから二重譲渡を受け、登記をしたときのCが背信的
悪意者にあたります。このような者に、登記がないことを主張させると
社会秩序に反することになるため、背信的悪意者に対しては登記がなく
ても権利を主張できるとされています。
◎登記がなければ対抗できない第三者
①二重譲渡の譲受人、②差押債権者などがこれにあたります。
◇二重譲渡の譲受人
たとえば、AがBに土地を譲渡したのにまだ登記をしていないでいたところ、
AB間の契約の存在を知りながらCがより有利な条件での取引をAにはたら
きかけ土地の売買契約を締結させ、登記を先に得た場合などです。
この場合の第二譲受人Cは、悪意ではありますが、対抗問題として処理され、
先に登記を備えたCが優先します。
◇差押債権者
単なる債権者でなく、差押手続までしている債権者は、その不動産に対して
強い利害関係をもっています。
たとえば、AがBに自宅を売却した後、Aの債権者のCがAの自宅を差し
押さえた場合に、Bは登記がなければ自分が買い受けたことを差押債権者C
に主張できません。
◎登記が必要な物権変動
177条の規定は、すべての物権変動に登記を必要としています。具体的に、
①取消しと登記、②契約の解除と登記、③相続と登記、④取得時効と登記の
四つの場面をみてみます。
◇取消しと登記
制限行為能力や詐欺または強迫によって意思表示をした者は後に意思表示
を取り消すことができます。意思表示が取り消される場合に、これに利害
関係を有する第三者が登場することがあります。
物権は、他人に譲ることができ、物権が他人に移ることを物権変動と
言います。
物権変動とは、物権の発生、移転、変更または消滅を言います。
どのような事実があれば物権変動は生ずるのでしょうか。
物権変動を生じさせるものの一つとして、売買契約などの契約が成立することが
あげられます。
しかし、契約によらずに発生する場合もあります。
たとえば、先に学習した「取得時効」によって不動産の所有権を取得する場合や、
「相続」によって被相続人から相続人に不動産の所有権が移転する場合が
あります。
契約による物権変動については、当事者間で約束をしない限り、契約が成立した
時点で、所有権の移転などの物件変動が生じます。
◆意思主義
物権変動が生ずるために、何か特別な手続は必要なのでしょうか。
これについては、二つの考え方があります。
まず、物権変動が生ずるためには、当事者の意思表示だけでよく、
ほかに何も特別な手続は必要ないという考え方(これを意思主義という)です。
もう一つは、意思表示だけでなく、登記や引渡し等の一定の形式がなければ
物権変動は生じないとする考え方(これを形式主義という)です。
民法は、176条で「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、
その効力を生ずる」としており、意思主義の立場に立つものと考えられて
います。
◆不動産物件変動
契約は、同一の目的物について複数締結することができるので、
たとえば、AがBにA所有の土地を譲渡した後、同じ土地を二重にCにも
譲渡する契約が締結されるのを防ぐことはできません。
また、動産と違って、不動産は誰の所有物かは外から見ただけではなかなか
わかりにくいという事情があります。
この場合に、土地の買主であるBとCは、どちらが物権変動によって所有権を
取得したのかをはっきりと決めてもらわないと困ります。
このような問題を解決する基準が、不動産物件変動の対抗要件なのです。
つまり、一つの物の権利をめぐって「私が真の権利者だ」と主張し合うことを
対抗問題といいますが、これを解決する基準が対抗要件です。
そして、不動産物件変動の対抗要件は登記です。
民法は、「不動産に関する物件の得喪及び変更は、不動産登記法その他の
登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に
対応することができれない」と定めています。
所有者が同じ物を複数の人に売却するような場合のことを、
二重譲渡と言います。
物件は、特定の物を直接的、排他的に支配する権利ですが、
同一の物につき同じ内容の物件が複数成立すると、
第三者に不測の損害を与えてしまい、
安全に取引をすることができません。
そこで、第三者に対して、物権変動を主張していくためには、
対抗要件が必要とされます。
したがって、対抗要件がない限り、物権変動を第三者に主張することが
できません。
そのため、不動産の二重譲渡がなされた場合、先に登記を備えたほうがを
優先するのが原則です。
このように第三者に効力の発生を主張するために必要な要件を、
「対抗要件」と言います。
このように、不動産物件を取得した者は、登記をすることによって
不動産物件を第三者に対抗することができます。
そして、不動産の買主には、売主に対して、「登記の申請に協力せよ」
という請求権が認められています。
これを「登記請求権」と言います。
◎177条の「第三者」とは
それでは、登記がなければ対抗することができない「第三者」とは、
一体どのような者でしょうか。
第三者といえば、一般に「当事者以外の者」を広く指します。
しかし、登記がなければ不動産物件変動を対抗できない「第三者」は
もっと限定的にとらえられています。
すなわち、177条の「第三者」は、当事者(相続人などの包括的な
承継人も含む)以外の者で、不動産の物件変動につき、登記がないことを
主張する正当な利益を有する者であるとされています。
◎登記なくして対抗できる第三者
登記がなくても物権変動を対抗できる第三者には、次に示す者がいます。
◇無権利者
◇不法占拠者または不法行為者
◇詐欺や強迫によって登記申請を妨げた第三者または他人のために
登記申請をする義務のある者
◇前主と後主の関係になる者
◇相続人
◇背信的悪意者
◇無権利者
無権利者とは、何も権利を有していない者です。
たとえば、虚偽表示の相手方のように、本来権利を有していないのに
登記簿上の名義人になっている者や、無効な登記がされた場合の
登記名義人のような者を言います。
◇不法占拠者または不法行為者
不法占拠者とは、何らかの正当な権限もなく他人の不動産を使用して
いる者です。
不法行為者は他人の家屋を勝手に壊すなどの行為をする者です。
◇詐欺や強迫によって登記申請を妨げた第三者または他人のために
登記申請をする義務のある者
これらの者については不動産登記法に規定があります。
たとえば、AがBとCに自分の土地を二重に譲渡し、Bが登記の申請を
しようとしたところ、CがBを欺いたり脅迫したりしてBの登記申請を
妨げている間に、Cが先に登記を得たとします。
この場合においては、Bは登記がなくても土地の所有権を
Cに対抗できます。
また、不動産の登記の申請を依頼された者が、自分の名義で登記をして
しまう背任行為は許されません。
したがって、この場合も、真の権利者は、登記がなくても不動産の
所有権を対抗することができます。
◇前主と後主の関係になる者
土地がAからB、BからCへと順次に譲渡された場合に、AとCとは
前主と後主の関係になります。
この場合には、AとCは所有権を争う関係になく、Aは、BC間の
物権変動を否定しても何ら権利を得られるわけではないので、
Cに登記がないことを主張する正当な利益を有しているとはいえません。
したがって、この場合のCは、Aに対して、登記がなくても所有権を
主張できます。
◇相続人
たとえば、土地の売主Aが買主Bに登記を移転する前に死亡した場合に、
土地の買主Bが自己の所有権を売主Aの相続人Cに対抗できるかどうかが
問題となります。
この場合に、相続人は売主と同視でき、当事者となるので第三者には
あたりません。
したがって、上記の例では、買主Bは売主Aの相続人Cに対して
登記がなくても、土地の所有権を主張できます。
◇背信的悪意者
背信的悪意者とは、単なる悪意ではなく、第三者を害する目的をもって
取引をした第三者です。
たとえば、AがBにその自宅を売り渡したがまだBは登記をしていない
場合に、そのことをCが知り、Bを困らせるためだけの目的でAから
二重譲渡を受け、登記をしたときのCが背信的悪意者にあたります。
このような者に、登記がないことを主張させると社会秩序に反すること
になるため、背信的悪意者に対しては登記がなくても権利を主張できる
とされています。
◎登記がなければ対抗できない第三者
①二重譲渡の譲受人、②差押債権者などがこれにあたります。
◇二重譲渡の譲受人
たとえば、AがBに土地を譲渡したのにまだ登記をしていないでいた
ところ、AB間の契約の存在を知りながらCがより有利な条件での取引を
Aにはたらいきかけ土地の売買契約を締結させ、登記を先に得た場合など
です。
この場合の第二譲受人Cは悪意ではありますが、対抗問題として処理され、
先に登記を備えたCが優先します。
◇差押債権者
単なる債権者でなく、差押手続までしている債権者は、その不動産に
対して強い利害関係をもっています。
たとえば、AがBに自宅を売却した後、Aの債権者のCがAの自宅を
差し押さえた場合に、Bは登記がなければ自分が買い受けたことを
差押債権者Cに主張できません。
◎登記が必要な物権変動
177条の規定は、すべての物件変動に登記を必要としています。
具体的に、①取消しと登記、②契約の解除と登記、③相続と登記、
④取得時効と登記の四つの場面をみてみます。
◇取消しと登記
制限行為能力や詐欺または強迫によって意思表示をした者は後に
意思表示を取り消すことができます。
意思表示が取り消される場合に、これに利害関係を有する第三者が登場
することがあります。
◇契約の解除と登記
たとえば、Aが自己所有の建物をBに売却し、BはさらにCへ転売した
後に、Bの売買代金不払い(債務不履行)を理由にAがAB間の
売買契約を解除したとします。
Aが解除を理由として登記を取り戻す前に、第三者Cが先にその建物の
当期を備えた場合には、AとCのどちらが保護されるでしょうか・
解除前に第三者が登場した場合は、解除によって第三者の権利を害する
ことはできません。
ただし、この第三者が保護されるためには、登記が必要となります。
上記の例でいうと、CはAより先に登記を備えているので、Cが建物の
所有権を取得します。
これに対し、解除後に第三者が登場した場合は、取消し後の第三者と
同様に、対抗問題として処理します。
つまり、第三者Cと解除者Aの優劣は、登記の先後で決まるのです。
◇相続と登記
相続と登記の問題は、①共同相続と登記、②相続放棄と登記、
③遺産分割と登記の三つに分かれます。
①共同相続と登記
Aが死亡し、Aの所有していた土地を相続人であるBとCの二人が
相続しました。
そして、この土地を共同相続人の一人であるCが、単独で相続した
ようにして勝手に登記をし、第三者Dに土地の全部を譲渡して
しまったとします。
この場合、他の共同相続人であるBは、登記なくして、自分の持分を
第三者Dに対抗することができます。
②相続放棄と登記
上記の共同相続の例で、Cが相続の放棄をしたので他の相続人Bが
土地の所有権を単独で承継しました。
しかし、Bが相続による登記をしないうちに、Cの法定相続分に
対して、Cの債権者であるDが、差押えをして登記を備えたとします。
この場合に、Bは不動産の所有権を差押債権者Dに対抗できない
でしょうか。
相続の放棄をすると、放棄をした者は最初から相続人とならなかった
ものとみなされます。
したがって、Cの持分が存在することを理由としたDの差押えや、
差押えの登記は無効となります。
よって債権者Dは無権利者なので、相続人Bは土地の所有権の全部を
登記なくしてDに対抗することができます。
③遺産分割と登記
Aが死亡し、BとCが土地を共同相続した後、遺産分割の協議をした
結果、Bが単独所有することになったとします。
しかし、Bが遺産分割で単独所有となったことの登記をしないでいた
ところ、Cがもともとの自己の持分をDに譲渡した場合において、
DとBとは対抗関係となります。
つまり、単独所有となったBよりも先にDがCの持分を取得した登記を
すれば、Cの持分の取得をBに対抗することができます。
◇取得時効と登記
取得時効と登記の問題も、時効完成前に第三者が登場するのか、
完成後に登場するのかで分けて考えます。
A所有の土地をBが善意無過失で占有を始めたが、時効完成前に
Aがその土地をCに譲渡し、Cに登記も移転したとします。
この場合において、時効が完成した後、Bが時効による所有権の
取得をCに主張するためには登記が必要でしょうか。
これが時効完成前の第三者と登記の問題です。
また、A所有の土地をBが善意無過失で占有し、時効が完成したと
します。
この時効完成後、Aがその土地をDに譲渡した場合は、
Bが時効による所有権の取得をDに対抗するためには
登記が必要でしょうか。
これが時効完成後の第三者と登記の問題です。
これらの問題について、判例は次のようなルールで判断しています。
◇取得時効と登記
◇当事者の関係
もとの所有者Aと時効取得者Bとは、所有権を移転する売買契約の
売主・買主と同様の関係
→両者あ物権変動の当事者として、BはAに登記なくして
時効取得を対抗できる
◇時効完成前の第三者との関係
時効完成前に所有者Aから不動産を譲り受けたCと時効取得者B
との関係は、売買契約の売主・買主と同様の関係
→両社は物権変動の当事者として、BはCに登記なくして時効取得を
対抗できる
◇時効完成後の第三者との関係
時効完成後に所有者Aから不動産を譲り受けたDは、
時効取得者Bと、お互い所有権の取得を争う対抗関係となる
→BはDに対して登記なくしては時効取得を対抗できない
*時効完成後、譲受人Dが登記をした時点から、さらにBが占有を
継続すれば、新たに時効が完成し、時効取得者BはDに登記
なくして時効取得を対抗できる
◆動産物権変動
◎動産物権変動の対抗要件
動産の物権変動では、「引渡し」が対抗要件となります。
たとえば、カメラの売買契約においては、カメラ店から買主にカメラが
手渡された時、対抗要件が備わったことになります。
対抗要件として認められる引渡しには、①現実の引渡し、②簡易の引渡し、
③占有改定、④指図による占有移転という四つの方法が認められています。
◇現実の引渡し
現実の引渡しとは、物理的に目的物の支配を移転することを言います。
たとえば、時計店で時計を買い、代金と引き換えに手渡されることです。
◇簡易の引渡し
簡易の引渡しとは、すでに相手方が物理的に支配している者を、
相手方に渡すことを言います。
たとえば、友人に時計を貸しており、その時計をそのまま友人に
譲り渡すような場合です。
◇占有改定
占有改定とは、譲渡人の下に物理的には物が置かれたままの状態で、
譲受人に引き渡すことを言います。
たとえば、Aが自分の使っている時計をBに譲り渡したが、
同時にBからその時計を借りて(使用貸借契約)、そのままA自身が
その時計を持っている場合などです。
◇指図による占有移転
指図による占有移転とは、譲渡人が占有代理人に預けている物を
預けたままで、第三者に引き渡したことにすることをいいます。
たとえば、AがCに貸している時計を、Cに貸したままの状態で
Bに譲り渡す場合です。
この場合は、AがCに対し、以後Bのために占有することを命じ、
Bがこれを了解すれば、Bに占有が移転します。
◎即時取得
動産はひんぱんに取引の対象となりますから、動産を占有している者が
真の権利者でなければ、誰も安心して取引ができなくなります。
そこで、動産取引を安全に行えるよう即時取得の制度が民法で
定められています。
即時取得とは、動産取引に対する信頼を保護するため、動産の占有者が
無権利者であっても、善意無過失でその者を権利者であると信じて
取引をした者が動産の権利を取得できるとする制度をいいます。
即時取得は相手方が権利者であると信じて取引をした者を保護する制度
ですから、次の各要件を満たさないと認められません。
◇即時取得の要件
◇客体 ①取引の客体が動産であること
◇取引行為 ②有効な取引行為があること
③無権利者や無権限者かrなお取得であること
◇取引の客体が動産であること
動産は日常ひんぱんに取引されますし、真の権利者がこうむる不利益も
不動産に比べると大きくないことから、即時取得の対象となるのは
動産に限られます。
◇有効な取引行為があること
即時取得は動産取引の安全を保護するためのものですから、
有効な取引によって取得した者のみを保護すれば十分であると
いえるからです。
◇無権利者や無権限者からの取得であること
これらの者は、本来、他人とその動産を取引する権利をもっていない
からです。なお、無権限者とは、たとえば動産の借主や預り主を
言います。
◇平穏・公然・善意・無過失で占有を取得したこと
平穏・公然とは、おだやかに堂々と取得することをいいます。
なお、「平穏・公然・善意」については、自分が占有をしていることに
より推定されます。また、「無過失」は、前主である占有者が占有して
いたことにより推定されます。
◇取得者が占有を始めること
占有の取得方法には、①現実の引渡し、②簡易の引渡し、③占有改定、
④指図による占有移転の四つの方法があります。
このうち、占有改定だけは、譲渡人の下に物理的に物が置かれたままの
状態で、譲受人に引き渡す方法なので、占有の現れ方に変化が一切
ありません。
要するに、外から見て占有が他人に移ったとは判断できません。
したがって、占有改定による占有の取得方法だけは、
「取得者が占有を始める」とはいえば、即時取得が認められません。
◆時効とは・・
一定の事実が継続する場合に、それが真の権利関係と一致するか否かを
問わず、継続した事実状態に即した権利関係を確定し得るとする制度を、
時効制度と言います。
この時効制度には、一定期間権利が行使されなかったことによって、
その権利が消滅する消滅時効と、一定期間の経過によって権利を取得する
取得時効があります。
取得時効においては、他人の不動産を善意無過失で10年間占有し続けた者は、
一定の要件を満たせば、その不動産の所有権を取得することが可能です。
このように、所有権は、契約のほかに取得時効や相続などによっても、
移転します。
所有権の移転原因には、契約、時効、相続、添付があります。
なお、善意とは、ある事実を知らないこと、善意無過失とは、
不注意もなく知らないことを言います。
これに対して、悪意とは、ある事実を知っていることを言います。
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(記事作成日、平成29年4月6日)