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契約の内容は、当事者が自由に決められますが、民法は、多くの人たちが
結ぶであろう典型的な契約について定めを置き、
そのモデルを示しています。
これを典型契約と言います。
◆財産権を譲渡するタイプの契約
◎贈与…無償で財産権を譲渡する契約
◎売買…金銭で対価を支払うことを約束して財産権の譲渡をするもの
◎交換…物々交換のこと
◆貸すタイプの契約
◎消費貸借…借りたものは消費し、借りたものと同等のものを返還するもの
(詳細→「消費貸借とは・・」)
◎賃貸借…賃料を支払って借りる契約
(詳細→「賃貸借とは・・」)
◎使用貸借…無償で借りる契約
◆労務を提供するタイプの契約
◎雇用…給料を支払って労働者を雇う契約
◎請負…仕事の完成に対して対価を支払う契約
(詳細→「請負とは・・」)
◎委任…プロに事務を委託して任せ、結果については確約できないもの
(詳細→「委任とは・・」)
◎準委任…病気になって病院で治療をしてもらうもの
◆その他
◎寄託…物を預かって保管する契約
(詳細→「寄託とは・・」)
◎組合…組合員全員で組合を作る契約
◎終身定期金…定期に一定の金銭などを給付し続ける契約
◎和解…紛争を相互に譲歩して話し合って解決する契約
◆移転型の契約
◎贈与契約
書面によらない贈与は、履行の終わった部分を除き、各当事者が撤回する
ことができる。
◇贈与契約とは
贈与契約とは、贈与者が受贈者に対して無償で自己の財産を相手方に
与えることを目的とする契約をいいます。
贈与契約は「無償・片務・諾成」契約です。
贈与というと、無償で何かをあげるというイメージから、贈与者の一方的
な行為と考えがちですが、民法上は契約であり、贈与者と受贈者の意思の
合致が必要です。また、契約の成立によって贈与者の義務は発生しますが、
受贈者には義務は発生しないので、贈与契約は片務契約です。
◇贈与契約の種類
◇書面によらない贈与
書面によらずに贈与契約をした場合に、各当事者は契約を撤回すること
ができます。贈与は無償契約ですし、書面によらない場合は、贈与者の
意思が必ずしも明確ではありません。そこで、軽率な贈与がなされない
ように、書面によらない贈与はいつでも撤回できることとされています。
ただし、受贈者の保護のため、履行の終わった部分については、撤回
することはできません。
問題は、何をもって「履行」が「終わった」とするかですが、これに
ついては次のとおりです。
◇不動産の贈与
不動産が贈与された場合は、履行として引渡しと登記とがなされるが、
そのうちいずれかが完了すれば、履行が終わったものとされる
◇引渡しの方法
ここでいう引渡しには、現実の引渡し以外に、簡易の引渡しや占有
改定も含まれる
◇条件付き贈与
たとえば、ケース①で「Aの海外赴任が決まったら、別荘を贈与する」
という条件がついている場合は、条件が成就するまでは、たとえ別荘
を引き渡していても撤回することができる
◇負担付贈与
負担付贈与とは、受贈者にも一定の義務を負担させる贈与契約をいいま
す。たとえば、ケース①で、AがBに別荘を贈与する代わりに、別荘の
敷地を含む山林の管理を依頼するような場合です。
負担付贈与も片務契約ですが、実質的に考えると、一定の負担をする
限りで両者が対価的な関係にあるととたえることができます。そこで、
民法は負担付贈与にも、その性質に反しない限り、双務契約に関する
規定(同時履行の抗弁権、解除、危険負担など)を準用すると定めて
います。したがって、負担した義務の履行を受贈者が怠るときは、
贈与者は契約を解除することができます。
◇死因贈与
死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与をいいます。
死因贈与は契約ですが、死亡を効力発生要件とする点など、実質的に
遺贈によく似ています。したがって、死因贈与には、その性質に反し
ない限り、遺贈に関する規定が準用されます。
◎売買契約
売主は、売買の目的物に欠陥があった場合、故意や過失の有無にかかわり
なく、担保責任を負う。
◇売買契約とは
売買契約とは、当事者の一方(売主)が、ある目的物(財産権)を相手方
(買主)に移転することを約束し、これに対して買主が代金を支払うこと
を約束する契約をいいます。売買契約は「有償・双務・諾成」契約です。
売買契約が成立することにより、契約当事者にそれぞれ義務が発生します。
◇売主の義務
売主に発生するおもな義務は、①財産権移転義務、②果実引渡義務、
③担保責任です。
①財産権移転義務
売主が負う義務の中心である。財産権と財産的価値のある権利のこと
をいい、性質上または法律上、譲渡不可能なものを除いて、売買の
目的物とすることができる
②果実引渡義務
まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じた場合に、その
果実は売主に帰属する。引き渡されていない理由は問わない。ただし、
売主が代金の支払いを受けた時以後に生じた果実は買主に帰属し、
売主は買主にこれを引き渡さなかければならない
◇売主の担保責任
◇売主の担保責任の意味
売主の担保責任とは、売買の目的物に欠陥(瑕疵という)があり、これ
があるために買主が契約時に予測した結果に反する場合の売主の責任を
いいます。
担保責任が認められているのは、売買契約は契約者当事者双方が相互に
経済的な負担を負う有償契約なのに、売買の目的物と代金との間のバラ
ンスが崩れたままでは不公平だからです。そこで、目的物と代金の均衡
を保つために設けられたのが、担保責任の制度です。いってみれば、
バランスの崩れたばかりのバランスをとり直すようなものです。目的物
の価値が軽くなってしまったことを、お金で賠償させる(軽い皿を重く
する)か、代金を減額させる(重い皿を軽くする)か、契約を解除する
(両方の皿を空にする)かの三つの方法で解決するのです。
この担保責任は、売主の故意や過失とは関係なく課されます。公平の
観点から認めた法定の制度ですから、売主は無過失責任を負担するの
です。
民法の定める担保責任は、全部で6種類であります。
◇他人の権利の売買における担保責任
この担保責任は、さらに全部他人物の場合の担保責任と一部他人物の
場合の担保責任とに分類されます。
◇全部他人物売買の場合の担保責任
全部他人物売買とは、売買目的物の全部が売主以外の第三者の所有物
である場合です。たとえば、AがBに、Cが単独で所有する甲土地を
売却する契約がこれにあたります。
このような他人の物を売る契約を締結した場合において、その契約は
有効です。そのうえで、売主はその権利を他人から取得して、買主に
移転する義務を負担するとしています。
この場合は、他人物であることにつき善意の買主は、契約の解除と
損害賠償請求ができます。これに対し、悪意の買主には、解除のみが
認められます。悪意の買主には権利を何ら認めなくてもよさそうです
が、この場合の買主は、他人物とは知っていても、履行期までに売主
が所有者から目的物を取得し、自分に権利を移転してくれることを
期待して、契約を結んでいます。そうであれば、その契約時の期待が
予想外の結果となった以上、解除だけは認め、契約の拘束力から解放
されることは認められるのです。他方、権利の移転は無理だと予測
することはできますから、損害賠償責任を認める必要はありません。
◇一部他人物売買の場合の担保責任
一部他人物売買とは、売買目的物の一部が、売主以外の第三者の所有
物である場合です。
この場合に、売主が履行期までにその一部の権利を取得することが
できなければ、一部他人物であることにつき善意の買主は、損害賠償
の請求のほか、代金の減額請求が認められます。欠けている一部に
つき均衡をとる趣旨です。また、一部が他人物であるために契約を
した目的が達成できない場合には、契約を解除することができます。
悪意の買主は、解除と損害賠償は認められませんが、代金減額請求
だけは認められます。つまり、代金額について均衡をとることだけは
認められているのです。
◇数量不足および一部滅失の場合の担保責任
数量不足の売買とは、数量指示売買の場合に、指示された数量が不足
していたことを意味します。
数量指示売買とは、目的物が実際に有する数量を確保するため、その
一定の面積、容積、重量等があることを、売主が契約において表示し、
かつ、この数量を基礎として代金額が定められた売買のことです。
この場合は、数量不足であることにつき善意の買主は、損害賠償請求
のほか、代金減額請求も認められますし、契約をした目的が達成でき
ない場合には、契約の解除もできます。これは、先ほどの一部他人物
売買の場合と同様です。
しかし、悪意の買主は、解除、損害賠償の請求および代金減額請求の
いずれも認められません。悪意の買主は、指示された数量よりも不足
していることを知ったうえで契約をしているわけですから、数量不足
を理由とする代金の減額も認める必要がないのです。
なお、目的物が一部滅失した場合も、同様となります。
◇地上権等がある場合の担保責任
この担保責任は、売買契約の目的物が地上権、永小作権、地役権、
留置権または質権の目的である場合や、目的不動産に存在すると
称した地役権が存在しない場合や、登記をした賃借権があった場合
の担保責任です。
この場合は、地上権等により目的物を使用する者がいたり、目的物の
使用に必要な権利がなかったりするために、買主は予期していた使い
方ができません。そこで、善意の買主は損害賠償を請求することが
できます。さらに、契約をした目的が達成できない場合には、善意の
買主は契約を解除することもできます。他方、悪意の買主には何らの
権利も認められません。
◇抵当権等がある場合の担保責任
これは、売買契約の目的物に抵当権や先取特権が存在しており、
これらの権利行使により買主が所有権を失った場合の担保責任のこと
です。この場合に、買主は損害賠償請求や解除ができます。
この担保責任については、買主の善意悪意が問われず、悪意の買主で
あっても権利行使ができる点がポイントとなります。
◇瑕疵担保責任
売買の目的物に隠れた瑕疵がある場合の売主の担保責任です。瑕疵と
は、目的物に存在する欠陥のことです。また、「隠れた」とは、買主
が取引に一般的に要求される注意をしても発見できないことをいいま
す。
瑕疵担保責任の内容は、目的物に地上権等がある場合の担保責任と
同様です。すなわち、善意の買主は、損害賠償の請求と契約目的が
達成できない場合の解除を認められ、悪意の買主には何らの権利も
認められません。
◇手付
手付とは、売買契約の締結の際、当事者の一方(買主)から他方(売主)
へ支払われる一定額の金銭をいいます。手付は、公布する目的により、
①証約手付、②違約手付、③解約手付の3種類に分けることができます。
民法は、このうち、解約手付を手付の原則としています。
◇解約手付の整理
◇解約手付の意味
手付額の損失を覚悟すれば、相手方に債務不履行等がなくても契約を
解除することができるという趣旨で交付される手付
◇買主側の解除
交付した手付の放棄
◇売主側の解除
受領した手付額の倍額の返還
◇時期の制限
契約の相手方が履行に着手するまで
◇買戻し
買戻しは、債権の担保に用いられる手法の一つで、不動産の売主が買主に
目的物を売却するにあたり、同時に、買主が支払った代金および契約費用
を返還して売主が後日売買を解除する旨を特約することをいいます。
つまり、買戻しの特約は、売買契約と同時にしなければなりません。
◎交換契約
交換契約は、売買契約と形態が類似するため、特約がない限り、売買に関する
規定が準用される。
◇交換契約とは
交換契約とは、当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転する契約
をいいます。
◇交換契約の性質
交換契約は、「有償・双務・諾成」契約です。
売買契約は目的物との交換で金銭を渡しますが、交換は物々交換になった
だけであり、売買契約と非常に形態が似ています。したがって、当事者に
特約がない限り、売買に関する規定が準用されます。
◆賃借型の契約
◎消費貸借契約
借主は、返還時期を定めたときであっても、いつでも返還をすることができ
る。
◇消費貸借契約とは
消費貸借契約とは、金銭その他の代替物を借りて、のちにこれと同種・
同等・同量の物を返還する契約をいいます。消費貸借契約は、利息を付け
ない場合は、「無償・片務・要物」契約です。利息付きの場合は、「有償
・片務・要物」契約です。
◇金銭消費貸借契約の特徴
消費貸借契約のうち、私たちの社会経済生活において、大きな役割を果た
しているのは金銭を目的とした消費貸借契約です。この金銭消費貸借契約
は、先にみた、消費貸借契約の性格である「無償性・要物性」が修正され
て締結されます。
まず、金銭は運用して利息を得ることができるので、これを目的とした
消費貸借契約も、利息を付けることが一般的です。たとえば、金融機関
との間で締結される金銭消費貸借契約は、ほぼ例外なく利息の約定が
なされます。当事者間で利息を付ける旨の合意があれば、有償契約と
なります。
次に、消費貸借が成立するためには当事者間の合意のほか目的物の授受
が必要ですが、これを厳格に求めようとすると、取引社会の実情に合いま
せん。たとえば、お金を実際に渡さないと契約が成立しないとすると、
常にその契約締結の場に現金を容易しておかねばならず、取扱い上も危険
が伴います。
そこで判例は、金銭の授受がなくても現実に授受したのと同一の利益が
借主に与えらていれば、金銭消費貸借契約の成立を認めています。これを
要物性の緩和といいます。
◇準消費貸借契約
準消費貸借契約とは、消費貸借によらずに、金銭その他の物を給付する
義務を負っている者が、相手方との契約により、その物を消費貸借の目的
とすることがを約束したときに成立したものとみなされる契約をいいます。
たとえば、A社がB販売店から大型トラックを購入したものの、購入代金
を支払時期に払えない事情が発生したとします。このような場合に、A社
がB販売店に交渉し、代金債務を消費貸借の目的とすることを約束して
もらい、決められた返還時期に金銭を返還する、というような処理を可能
とするのが、準消費貸借です。
◇消費貸借における返還時期
借主は、返還時期を定めたかどうかにかかわらず、いつでも返還すること
ができます。ただし、利息付き消費貸借契約の場合には、返還時期の定め
があればその期限までの利息を、定めがなければ実施に返還する時までの
利息を付すことになります。
◇貸主からの返還請求
◇返還時期の定めがない場合
貸主は、いつでも返還請求をすることができるが、同種・同等・同量の
物を借主が調達する時間を与えるため、相当の期間を定めて催告する
ことが必要となる
◇返還時期の定めがある場合
◇原則
債務者である借主に期限の利益があるため、期限が到来するまで
返還請求することはできない
◇例外
借主が期限の利益を放棄したり、喪失したりした場合。たとえば、
借主が破産手続開始の決定を受けた場合に、借主は期限の利益を喪失
する
◇借主の担保責任
利息付きの消費貸借において、貸した物に隠れた瑕疵があった場合には、
貸主は瑕疵がない物に取り替えなければなりません。さらに、瑕疵の存在
によって、借主に損害を与えた場合には、貸主は損害賠償義務を負います。
他方、無利息の消費貸借の場合に、借主は瑕疵ある物の価額を返還すれば
よいとされます。ただし、貸主が瑕疵を知ってこれを借主に告げなかった
場合には、利息付き消費貸借と同様の責任を負います。
◎使用貸借契約
使用貸借契約は、当事者間の信頼関係を基礎とし、賃貸借契約と異なり借主
の死亡によって終了する。
◇使用貸借契約とは
使用貸借契約とは、貸主が借主に無償で貸すことにして目的物を引き渡し、
借主が使用収益した後に返還する契約をいいます。使用貸借契約の法的
性質は「無償・片務・要物」契約です。
◇貸主の担保責任
使用貸借契約は、無償契約ですから、目的物に瑕疵があり、借主がそれに
よって損害をこうむっても貸主の責任となりません。ただし、貸主が瑕疵
を知っていながら借主に告げなかったときは、損害賠償責任を負います。
◇借主の権利義務
借主は、契約または目的物の性質により定まった用法で目的物を使わなけ
ればなりません。また、信頼関係が基礎にある契約ですから、借主の承諾
を得ずに第三者に勝手に使用収益させることはできません。
◇借主の死亡による終了
使用貸借は、借主の死亡によってその効力を失います。使用貸借は無償で
あり、信頼関係に基づく契約ですから、借主の死亡によって消滅すること
としました。したがって、相続人への権利の承継はありません。これに
対して、貸主が死亡しても使用貸借契約は終了しません。
◎賃貸借契約
賃借人は、必要費・有益費を支出すると、一定の場合に費用償還請求をする
ことができる。
◇賃貸借契約とは
賃貸借契約とは、賃貸人がある物を賃借人に使用収益させ、これに対して
賃借人が使用収益の対価としての賃料を支払う契約をいいます。その法的
性質は「有償・双務・諾成」契約です。
賃貸借の目的物には特に限定がありません。レンタルショップでDVD
などを借りる契約も、賃貸アパートを借りる契約も、基本的には民法の
賃貸借の規定が適用されます。特に土地や建物の賃貸借の場合には、
民法の特別法である借地借家法が適用されます。
◇賃貸借契約の効力
◇新貸借の存続期間
賃貸借の存続期間は、民法上20年を超えることができないとされて
います。これより長い期間を契約で定めても、20年となります。所有
権に対する制約があまりに長期間となることを防ぐためです。
これに対し、最短期間については、民法上、制限はありません。
◇賃貸人の権利および義務
賃貸借契約を締結すると、両当事者に権利および義務が発生します。
賃貸人の権利は、賃料請求権です。賃貸人の義務としては、①目的物を
使用収益させる義務、②目的物の修繕義務と費用償還義務があります。
賃貸人は、賃借人に対して目的物を使用収益させる義務を負うことから、
目的物が使える状態でないときには、目的物の修繕義務を課さられます。
この修繕は義務であると同時に、所有者として目的物の保存行為を行う
権利でもあります。したがって、賃借人は、賃貸人による修繕を拒む
ことはできません。
また、賃貸人は賃借人が目的物にかけた費用を償還する義務があります。
費用には二種類があります。まず、使用収益のために必要な費用で、
これを必要費といいます。次に、必ずしも必要ではないが賃貸目的物の
価値を高めた費用で、これを有益費といいます。
◇費用
◇必要費
意味は、使用収益のために必要な費用です。賃借人の償還請求は、
支出後、ただちに償還請求できます。
◇有益費
意味は、賃貸目的物の価値を高めた費用です。賃借人の償還請求は、
賃貸借契約終了時に、価格の増加が現存する場合に限って償還請求
できます。
◇賃借人の権利および義務
賃借人の権利は、目的物を使用収益する権利です。賃借人の義務として
は、①賃料を支払う義務、②契約や目的物の性質によって定まった用法
に従い使用収益する義務、③目的物の保管義務、④目的物返還義務
(契約終了時)があります。
賃料支払時期は、民法上は後払いとされており、特約がなければ、動産、
建物、宅地については毎月末に支払い、その他の土地は毎年末に支払う
とされています。
◇賃借権の対抗
◇対抗力の原則
たとえば、友人から借りていたカメラをその友人が第三者に売却した
場合に、第三者が引渡しを要求すてくれば、これに対抗することはでき
ません。このような状態を「売買は賃貸借を破る」といいます。
◇不動産賃貸借の対抗力
不動産の賃借権は、これを登記したときは、その後その不動産について
物件を取得した者に対して、その効力を生ずるとされています。
ただ、賃借権を登記するといっても、特約がない限り、賃借人には
賃貸人に対する登記請求権がありません。賃貸人は賃借権の登記に
非協力的であることが実情なので、これでは対抗力を与えるといっても
「絵に描いたもち」となってしまいます。
そこで、民法の特別法である借地借家法により、賃借権の登記に代えて、
借地については借地上の建物の所有者(土地の賃借人)名義の登記、
借家については借家の引渡しという、賃貸人の協力が必要ない方法で
対抗力を取得することが認められています。
◇賃借権の譲渡・転貸
◇賃貸人に承諾なく行うことの禁止
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、
または賃借物を転貸することはできません。
◇賃借権の無断譲渡、無断転貸の効果
賃借人が賃貸人に無断で、第三者に賃借権を譲渡したり、賃貸目的物
を転貸したりした場合には、原則として、賃貸人は賃貸借契約を解除
することができます。
しかし、例外があります。賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借権
を譲渡したり、賃借物を転貸したりした場合であっても、その行為が
賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合
には、解除権は発生しないのです。これを一般に信頼関係破壊理論と
いいます。
◇適法な譲渡、転貸の効果
賃借人が賃貸人の承諾を得て賃借権を譲渡したり、賃借物の転貸を
したりした場合(適法な譲渡、転貸)には、その後の法律関係はどうな
るのでしょうか。
賃借権の譲渡とは、賃借人の地位を第三者に譲ってしまうことを意味
します。したがって、賃借権の譲渡がなされた場合には、以後、賃借権
を譲り受けた第三者が賃借人になります。
これに対して、賃借物の転貸がなされた場合には、賃借人が転貸人と
なり、転貸借の相手方が転借人となります。
転貸後は、原賃貸人と転借人とは直接には契約関係がないものの、
実際に賃借物を使用収益させるのは転借人ですから、転借人は原賃貸人
に直接、義務を負うことになります。つまり、転借人は原賃貸人に賃料
支払義務や返還義務などを負います。仮に、転借人が転貸人にすでに
賃料を支払っていたとしても原賃貸人が転借人に賃料請求してきたら、
転借人は賃料を転貸人に前払いしたことを対抗できないのです。
◇賃貸借契約の終了
◇賃貸借の終了
賃貸借に期間の定めがあれば、期間を更新しない限り、その期間が満了
した時点で終了します。期間の定めがなければ、賃貸人および賃借人は
いつでも解約の申入れをすることができます。解約申入れがあると、
申入れの日から、賃借目的物に応じて民法の定める期間が経過すること
により、賃貸借は終了します。
また、債務不履行があった場合や、賃借権の無断譲渡その他の一定の
事由があった場合には、賃貸借契約を解除することができます。賃貸借
契約の解除は、将来に向かってのみ、その効力を生じます。
◇原賃貸借の終了原因と転借人への対抗
転貸借は賃貸借を前提としていますから、賃貸借が期間満了により終了
すれば、転貸借も終了します。。
◆その他の契約
◎請負契約
請負人は仕事の完成義務を負い、特約がない限り、完成目的物と報酬の支払
いは同時履行とされる。
◇請負契約とは
請負契約とは、請負人がある仕事を完成させることを約し、注文者がその
仕事の結果に対して報酬を与えることを約束することで成立する契約を
いいます。その法的性質は「有償・双務・諾成」契約です。
◇当事者の義務
◇請負人の仕事完成義務
請負人には、契約の趣旨に従って仕事を完成させる義務があります。
完成した仕事に対して報酬を受領するので、その意味では仕事完成義務
のほうを先に履行することになります。
さらにこの場合は、次に説明する委任契約とは違い、完成させることが
仕事内容なので、請負人自らが完成させる場合のほか、他人に手伝わせ
て仕事を完成させることもできます。それが履行補助者や下請人の使用
という問題です。
まず、請負契約においては、原則として、請負人自らが仕事を完成させ
るのは当然のことながら、履行補助者を使って仕事を完成させることが
できます。たとえば、手作り家具の注文を受けた家具屋が、本体の家具
の製作を行い、仕上げ前のニスを弟子に塗らせて家具を完成させること
ができるのです。
次に、請負人が請け負った仕事を、さらに第三者に請け負わせることは、
原則として可能です。請負人に課さられた義務は仕事の完成だからです。
請負人に課せられた義務は仕事の完成だからです。ただし、請負の仕事
内容が、個人の能力に重点を置いている場合や、請負契約に特約がある
場合には、請負人は第三者に下請けさせることはできません。たとえば、
芸術家に絵画を描いてもらうような場合には、第三者に絵画を描かせて
も仕事を完成させたことにはなりません。
◇目的物引渡義務
仕事の完成だけでなく、完成した目的物を引き渡す必要のある仕事も
あります。たとえば、ドレスを仕立てる仕事や建物などの建築請負で
は、請負人は完成物の引渡義務を負います。
◇目的物の所有権の移転
完成した目的物の所有権は、当事者に特約があればそれに従い、注文者
あるいは請負人に帰属します。
特約がなければ、①注文者が材料の全部または主要部分を供給した場合
か、②請負人が材料の全部または主要部分を供給した場合かで所有権の
帰属が異なります。
◇特約がない場合の完成目的物の所有権の帰属
◇注文者が材料の全部または主要部分を供給した場合
完成と同時に注文者に帰属
◇請負人が材料の全部または主要部分を供給した場合
完成と同時に請負人に帰属
→引渡しによって注文者に移転
◇注文者の報酬支払義務
注文者は、完成した仕事に対して報酬を支払う義務を負います。
請負人が仕事の完成した目的物を引き渡す場合、当事者間に特約がない
限り、この報酬の支払いと完成目的物の引渡しは「同時履行の関係」に
なります。仕事の完成と同時履行ではありません。
◇請負人の担保責任
◇請負人の担保責任とは
請負人は、完成した仕事の目的物に瑕疵があったときは、注文者に責任
を負わなければなりません。この請負人の担保責任は無過失責任とされ
ています。
担保責任が発生する要件は、仕事の目的物に瑕疵があることです。売買
契約の瑕疵担保責任のように、隠れた瑕疵であることは要求されていま
せん。
◇担保責任の内容
注文者は、仕事の目的物に瑕疵があるときは、請負人に対して、①瑕疵
の修補請求、②損害賠償請求と、③契約の解除をすることができます。
◇瑕疵修補請求権
請負人に対して、相当の期間を定めて請求することができる。ただし、
瑕疵が重要でない場合に、その修補に過分の費用を要するときは、
修補を請求できない
◇損賠賠償請求権
瑕疵の修補に代えて、またはその修補とともに、損害賠償請求ができ
る。また、瑕疵の修補が可能でも、修補請求をしないで、ただちに
修補に代わる損賠賠償請求をすることができる
◇契約解除権
仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達成するこ
とができないときは、注文者は契約を解除することができる。ただし、
請負の目的物が建物その他の土地の工作物の場合は、それが完成した
以上は、どんなに重大な瑕疵であろうと解除することはできない
◇担保責任の存続期間
次のように場合分けして規定されています。
①原則
引渡しまたは仕事の終了の時から1年
②建物その他土地の工作物、地盤
引渡し後5年
③石造、土造、レンガ造、コンクリート造、金属造など
引渡し後10年
④②、③以前に工作物が滅失または損傷
滅失または損傷の時から1年
◇請負契約の終了
請負契約は、仕事が完成した場合のほか、次の場合に終了します。
◇完成前の注文書による解除
請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して
契約の解除をすることができます。契約成立後、何かの事情が発生して
注文者がもはや請負人による仕事の完成を必要としなくなった場合に、
請負人に仕事を継続さえることは意味がありません。そこで、注文者は、
請負人に損害を賠償して解除することを認めました。
◇注文者の破産手続の開始による解除
請負人の報酬債権は仕事を完成した後に発生する(後履行)ので、
請負人の報酬債権を確保する目的で解除権が認められています。
つまり、注文者が破産手続開始の決定を受けた場合には、請負人や破産
管財人は、契約を解除できます。
◎委任契約
受任者は、報酬を受けるか否かにかかわらず、委任事務の処理につき善管
注意義務を負う。
◇委任契約とは
委任契約とは、委任者が受任者に法律行為をすることを委託し、受任者が
これを承諾することで成立する契約をいいます。委任契約は請負契約と違
って、特約がなければ、報酬を受け取ることはできません。つまり、その
法的性質は原則として「無償・片務・諾成」契約です。例外として、報酬
の支払いについて特約をすれば、「有償・双務・諾成」契約となります。
◇受任者の権利および義務
◇受任者の義務
受任者には、以下の義務が課さられています。
◇善管注意義務
受任者の職業や社会的、経済的地位に応じて、一般的に要求される
程度の注意をいいます。たとえば、土地の売却を依頼された者は、
不動産の売買を仲介するのに必要な程度の注意を払う必要があるの
です。この善管注意義務は、委任契約の有償・無償を問わず課さられ
ます。
◇自ら事務を処理する義務
受任者は原則として、自ら委任の事務を処理しなければならず、他人
に任さることはできません。委任契約は当事者間の信頼関係を基礎と
するからであり、この点が請負と異なります。ただし、委任者の許諾
がある場合とやむを得ない事由がある場合には、自分が選んだ者に
委任事務を処理させることができます。
◇報告義務
受任者は、委任者の請求がある場合は、いつでも委任事務の処理の
状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過および結果を
報告しなければなりません。
◇受取物の引渡義務
受任者は、委任事務を行うにあたって受け取った金銭その他の物を
委任者に引き渡さなければなりません。収取した果実があれば、それ
も渡します。
◇金銭消費の責任
受任者が委任者に引き渡すべき金銭を、自分のために使ってしまった
場合には、その使った日以降の利息を付けてすべて返還し、損害が
ある場合は賠償責任を負うとしました。
◇受任者の権利
◇報酬請求権
当事者間に特約がある場合に認められます。
◇費用前払請求権
委任事務に必要な費用を事前に請求できます。
◇費用償還請求権
受任者が委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したと
きは、委任者に対しその費用および支出の日以後の利息の償還を請求
できます。
◇代弁済請求権
受任者は、委任事務を処理するため受任者が負担した債務を、委任者
に弁済するように請求できます。
◇担保供与請求権
受任者は、委任事務を処理するため負担した債務の弁済期が到来して
いないときは、委任者に対して、自分に担保を供与するよう請求でき
ます。受任者が、自ら弁済することで発生しうる損害に対する担保を
求めるのです。
◇損害賠償請求権
受任者は、委任事務処理のためにこうむった損害について、受任者に
過失がない場合に、委任者に対して損害賠償を請求できます。
◇委任契約の終了
委任契約の終了原因は、解除と解除以外の事由に分かれます。
◇解除
委任契約の当事者間の信頼関係が崩れてしますと、以後の委任事務を
継続させることは無意味になります。したがって、そのような場合には、
委任者・受任者双方から、何ら特別の理由がなくても、自由に解除する
ことを認めました。これを、無理由解除といいます。当事者の一方が
相手方の不利な時期に解除したときは、原則として損害を賠償しなけれ
ばなりませんが、やむを得ない事由があって解除した場合は、賠償する
必要はありません。
◎寄託契約
有償の受託者は善管注意義務、無償の受託者は自己の財産に対するのと
同一の注意義務を負う。
◇寄託契約とは
寄託契約とは、当事者の一方が相手方のために保管をすることを約束して、
ある物を受け取ることで成立する契約をいいます。たとえば、ハワイへの
転勤が決まったAが、帰国するまでの間、自己の所有するスキーセットを
Bに預かってもらうため、引き渡した場合がこれにあたります。
寄託契約の法的性質は、原則として、「無償・片務・要物」契約です。
しかし、当事者の特約によって報酬を支払うことになれば、「有償・双務
・要物」契約となります。寄託契約が有償であるか無償であるかによって、
受寄者の負う注意義務が異なります。
◇受寄者の注意義務
◇無償の受寄者
自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管すれば
足りる
◇有償の受寄者
善管注意義務を負う
◇寄託者の返還請求
当事者が寄託物の返還の時期を定めた場合であっても、寄託者はいつでも
返還請求ができます。寄託は寄託者の利益のための契約ですから、本人が
返還を求めてきたら、いつでも返還を認めるべきだからです。
◇寄託物の返還時期
当事者が寄託物の返還時期を定めていない場合は、受寄者はいつでもその
返還をすることができます。この場合には受寄者の負担も考えて、いつで
も返せるようにしたのです。
しかし、返還時期を定めた場合には、受寄者はやむを得ない事由がなけれ
ば、期限前には返還ができません。
◇消費寄託契約
消費寄託契約とは、寄託の目的物が金銭その他の代替物である場合に、受
寄者が寄託中に目的物をいったん消費した後、これと同種・同等・同量の
物を返還することを約束する契約のことです。法的性質は無利息の場合は
「無償・片務・要物」契約ですが、利息付きの場合は「有償・片務・要物」
契約です。
消費寄託契約には、民法の消費貸借契約に関する規定が準用されます。
ただし、返還時期の定めのない消費寄託契約については、寄託者は、いつ
でも寄託物の返還を請求することができます。
◎その他の契約
典型契約には、これまで説明してきた契約のほか、雇用、組合、和解および
終身定期金がある。
民法は、ほかにも契約の種類を定めていますが、現代ではほとんど使われて
いない終身定期金のようなものもあります。また、雇用のように、特別法で
ある労働法規(労働契約法、労働基準法など)が適用され、民法の規定は、
一部の規定しか適用されないものもあります。逆に、組合や和解のように、
現代でも重要な意味をもつものもあります。
◇その他の典型契約
◇雇用
当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約束し、相手方が
これに対して報酬を与えることで約束することで成立する契約。法的性
質は、「有償・双務・諾成」契約になります。
◇組合
二人以上の当事者が共同の業務を達成する目的で相互に金銭その他の
財産の出資または労務の提供を約束することで成立する契約。法的性質
は、「有償・双務。諾成」契約になります。
◇和解
当事者が互いに譲歩して、争いを自治的にやめることを約束する契約。
法的性質は、「有償・双務・諾成」契約になります。
◇終身定期金
当事者の一方が自己、相手方または第三者の死亡に至るまで、定期的に
金銭その他の物を相手方または第三者に給付することを約束することで
成立する契約。法的性質は、対価がある場合は「有償・双務・諾成」契
約で、対価がない場合は「無償・片務・諾成」契約になります。
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(記事作成日、平成29年3月30日)